短い人生と共に…

十六夜 彗

第1話特殊な体質

突然だが、私は幽霊が見える。と、言っても信じる人は少ないと思う。それはそのはず。なぜなら人は自分が見えているものしか信じず、すぐ隣にいても見ようともしない。それが人間だ。

私も最初は、その一人だった。ただ、子供の時から私が映る写真には人魂や謎の影が写ったりしていた。ただ、その写真を和歌山にあるとある神社に持って行き見てもらうと神主さんに『君はいろんなものに護らせている。だから何にも怖くないよ。』と、言われていたが、幼かった私は、『どうせ神社だからそんな感じで言っておけばいけるとおもってんやろな〜』と思っていた。すると父が『良かったな。幸せやな〜。きっとお前が生まれる前に亡くなった親父が見守ってくれてるんやろな』と言われた。

実は、私が生まれる一年前におじいちゃんが私の生まれる月に亡くなっている。幼かった私は『そなアホな笑』と思い両親と家に帰った。

それから3年が過ぎ私は小学4年生になった。

当時、私には兄弟がいて兄、姉、私、弟がいた。

兄は高校2年生で、野球部で、ピッチャーをしていた。

姉は高校1年生で、漫画研究部であった。

弟は小学1年生で、面倒くさがりな性格だった。

ある日、弟とゲームをしていて小さなことから取っ組み合いの喧嘩になりそれを兄が止めて私を突き飛ばした。私は、ドアノブで後頭部を打ち気を失った。

すると、私は白い扉の前にいて恐る恐る扉を開けてみると、『おい!ちょっとこっち来なさい!』と呼ばれ、50歳ぐらいのおじいさんと40歳ぐらいのおばあさんにすごく怒られた。

『しょうもない喧嘩をしない!お前にとって兄弟はかけがえのないものになるのだから仲良くしなさい!』とおじいさんに言われ反省をし、おばさんには『戻ったらみんなにごめんなさいって言うんだよ』と言われた。私は怒られたあと、『なぜ怒られてる?』と思い出口を見渡した。すると、おばあさんが『出口はあっちやで、お母さんによろしく言っといてや』と言われ出口に走った。

扉の前に立ち『よくよく考えたらここどこだ?』と思い、おそるおそる扉を開けた。

すると、周りには見渡す限りの青い空と大きな雲、下を見ると小さく見える町が見えた。『なんて綺麗なんだ。』と、思った瞬間、私はそのまま急速に落下をし、とある家の屋根に当たりそうになり『もうダメだ!』そう思った。

そこで、私は目が覚めた。すると、そこには叔母のベットでアイス枕をひいて寝ている私がいた。思わず『あれ、なんでここにおるん』と言うと姉が来て、『あれ、起きた』と一言。私は姉に『誰が運んだ?』と気を失った私を運んでくれた家族を聞いた。すると姉は不思議そうな顔で『何いってん?自分でアイス枕持っていって寝てたやん』と言って鼻で笑った。

『え、全然記憶がない。』なんとも不思議な体験であった。ただ、一つ言えるのはあの扉を開けた時に見えた風景は一緒忘れない。

数日が過ぎ昔、写真を持っていった神社のひな祭りがあり家族で見に行くことになった。

当時、神社につくとたくさんのひな人形がありなんとも美しいが少し不気味な感じがした。

毎年、ここの神社ではある行事が行われており最後には木の船に人形を置き海に流すということをしていてみんなはそれを見に行くために海へ向かって歩いていった。私はなんとなくその場に残ることにした。すると、誰も人がいないはずなのに『あれ、昔から来てくれる子じゃない』『みんなと一緒に行かないの』『大きくなったね〜』『ねぇ、行かないのなら一緒に遊ぼ』『名前なんていうの?』『だめよ、この子は普通の子。見えてないは』『見えないのか、寂しいな〜』『最近の人間は見ようともしないからな〜』『時代の流れよ〜』と、周りで会話が聞こえ始めた。

思わず、ゾッとした。それもそのはず、周りを見ても誰もいないのだから。

私は、『だれだ!?そこにいるんだろ!』と叫びあたりを探した。

すると、『あの子聞こえてるのじゃない』『そんな訳ないだろ』『でも、今私達を探してる』『もしかして』と、声も慌てだした。

『私(わたくし)が確かめてみます』とひときは美しい声が言った。

すると、『こちらですよ坊や。』声の聞こえる方を見てみるとひな人形の一番上の段のお雛様から声がした。思わず私は『はぁ〜!』と声をもらした。

すると、先程の美しい声が『坊や、私達の声が聞こえているのね。』と嬉しそうな声でそう言った。すると周りで聞こえていた声がザワザワし始めた。

私は『お、お、お雛様が、しゃ、喋った!?』と腰を抜かした。

『ほっほっほっ。ま〜珍しいことよの〜ここの今の主いらいじゃの〜』と嬉しそうに言った。

『しかし、声しか聞こえないとわ、もったいないそちも周りの人間と一緒で近くにいても見ようともしないなんとも哀れ世の〜』とそう寂しそうに答えた。

腰を抜かした私は、『見ようともしない?そりゃ怖いから見たくないでしょ。大体、どうやって見えるようになるんだよ』と少し半ギレで答えた。

すると、『坊やであれば簡単じゃ。どれ見てみるか?とても美しくそして暖かいぞ』

私は美しく暖かいと言う言葉を聞いて数日前の出来事を思い出した。〈もう一度また、あの綺麗な場所を見てみたい。また、あの大きな雲に手を伸ばしたい。そして、今まで信じなかったものをこの目で見てみたい〉そう思った私は、勇気を振り絞り『みたい!この目で!その美しいく暖かい世界を』

すると、『良かろう!では、後ろにある手水舎で目を洗い妾の横に座るがいい』と嬉しそうに話した。

私はすぐさま目を洗いお雛様の横に座った。

『でわゆくぞ!目をとじい』

私はゆっくり目を閉じた。すると、暖かい手のようなものが私の目に触れるような感覚におち私はそのままそこで気を失った。

目を開けると誰かに膝枕をされていた。うっすら目を開けてみるとそこにはとても美しい女性が着物を着て私を膝枕しながら頭をなでてくれていた。周りを見渡すと小さい子どもが数人走り回っていたり大人たちが楽しそうに海の方を見ていたり何人かは地面に座り酒をのみワイワイ騒いでいた。

『お、目が覚めたようじゃな。』と膝枕をしてくれていた美しい女性が私の目を見て言った。

私は、すぐさま体をお越し『何時間寝た!?』と言った。

すると地面に酒を飲んでお酌されていた男が『ほんの数分じゃよ』といいまた、酒を飲んだ。

『おめでとう。私達が見えるようになっね。名前は?』美しい女性がそう言ってニコって微笑んだ。

私は『明王生(あおい)です。明王と生きると書いて明王生(あおい)です。』そう私が名前を言うと周りがまるで無数のランプがついたかのように輝き出した。すると、『そう、いい名前ね。あなたは色んなものに愛された素敵な子。妾は、雫恩(しおん)あの人形の付喪神よ。』そお言うとお雛様にそっと指を指した。私は、驚きとその美しさのあまり数秒見つめてしまった。すると、鳥居の方からスタスタと足音が聞こえ見てみると『君はあの時の!?そうか見えるようになったのだね。やはり私の見る目は間違いなかったようだ。そろそろ皆様帰ってこられるから良かったらこっちえ来なさい』とここの神社の神主さんがそう言って微笑んで鳥居の横にあるベンチに案内してくれた。

『君はこの世界は初めはどう見えた?』と神主さんがいうと私は『とても美しくそして何か今まで俺はとても寂しい生活をしていたんだな〜と思いました。』

すると神主さんが笑いながら『そうかそうか。それは良かった。』しかし、すぐに寂しそうな顔で『私はね小さい頃からこの体質でいじめられたりしていたんだ。だけど、ある日そのいじめをしていた子が交通事故で亡くなって幽霊となって私の前に現れた。その子は泣きながら《死にたくない。いじめてごめん。だから、お母さんに合わせて》と言ってきたんだ。私は自業自得だな。と思い最初は無視していたんだが数日が過ぎ彼は、怨霊になってしまった。私は子供ながらその子を祓った。それが人生初のお祓いだったよ。今でもすごく後悔しているよ。なんで、あの時のあの子のお母さんのところに連れてってあげられなかったのかと。私が言いたいことはわかるかい?』私は首を横に振った。すると、神主さんが僕の頭を2回軽くなでて『この世の中いつもこんなに美しくはない。時には恨みや、憎しみ、嫉妬みたいに汚い部分がたくさんある。私と君のように幽霊を見える人間。いや、見えなくても全ての人はその汚れた中で生きていかない。君はこれから辛いこと、苦しいこと時には怨霊なんかに出会う時がくると思う。だけど君は必ずそばにいてくれる人がいる。守ってくれる人がいる。支えてくれる人がいる。だから安心して前に進みなさい。』そう言って神主さんは笑った。すると、雫恩さんが『主よ。妾は明王生の行く末がみたい。今後は、明王生が天命を尽きるまで明王生と共に過ごしても良いか?』

すると、神主さんが驚いた顔で『あぁ。いいよ。』そう言って僕の方を見た。『驚いた。もしかしてお雛様の付喪神から名を聞いたのかい?』私は、『聞いちゃまずかったですか?』と言うと雫恩が『本来、妾達のようなものが名を教えるという事は、魂の一部を渡すと言う事だ。ありがたく思え。』そう笑顔で言った。

『ハハハハ。やはり、私の目に間違いはなかったようだ。そうだ君にこれをあげよう』そう言って神主さんが持ってきたのはエメラルドグリーンの数珠を持ってきた。すると、『はい。これを左手に付けて』と私は神主さんの指示に従うと神主さんが何か唱えだした。すると、数珠が少し光ったように見えた。すると、『なるほど、これが妾の新しい家か。良かろう。』と雫恩がそお言うと雫恩が数珠の中に入って行った。

『これでこの子はずっと君のそばにいてくれる。今後、もし何かあればここに来なさい。私ができることがあればすぐに助けてあげるからね』そう言って神主さんは神社の方に戻っていった。そのタイミングで親が帰った来た。そして、私は、その頃から短い人生と共に、大人になったら雫恩と共に色んな場所へ行き自分のこの目で色々なものをみようと誓った。

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