みんなの家を作るよ

「さあ始めましょうか。ゴーレム生成。」


家から300mほど離れた場所に移動し、そこでゴーレムを生成する。


ヤムルさんとシンブさんが驚いている。


「あれっ、魔法は使えないのですか?耳の形からエルフさんかと思っていたんですけど。」


「ええ、わたし達はエルフで間違いありマセン。でもわたし達が使える魔法は木魔法のみナノデス。」


「そうなんですね。じゃあ農業とかには向いているとか。」


「そうです。わたし達は山中で農業をして自給自足の生活をおくってイマシタ。」


「良かった。ここには俺とミーアの2人しかいないんですけど、これから本格的に農業を始めようと思っていたんです。


わたし達にも教えて頂ければ助かりますよ。」


「ええ、農業はお任せクダサイ。」


シンブさんがガッツポーズで答える。


「頼もしいですね。じゃあとりあえずサクッと家を建てちゃいましょう。


ゴーレム、木を切って組み立てるんだ。


ゴーレム生成、ブロック変換積み上げて基礎作り。」


少し離れた場所から立ち上がったゴーレムが建設予定地に移動し次々とブロックに変化して基礎に変わっていく。


家の基礎が出来上がると木を伐り出してきたゴーレムが基礎の上に丸太を積み上げていく。


「じゃあガラスを作っていくか。」


ゴーレムの1体を使って平らに地面を均していく。


「火魔法ファイヤー!&水魔法チル!」


均された地面に高温のファイヤーを浴びせて硬化。チルですぐに急速冷凍させる。


この工程を何層にも積み上げることで土に含まれる鉄分だけが残り、数分で厚い鉄板が出来上がる。


「よしこんなもんかな。次はガラスか。ゴーレム山土を持ってきて!」


丸太を積み上げ終わって待機中のゴーレムに山土を持ってこさせる。


ここの山土にはケイ素が大量に含まれているのは調査済み。


やがて集まった土を鉄板に上にのせ、先程よりも少し低い温度で熱していくと土と不純物が燃え落ちケイ素のみが残る。


このケイ素に燃えカスの炭を混ぜて一緒に高温をかけると赤くなったガラスが鉄板の上に流れ出し平らになっていく。


このガラスを急速に冷やして固めると、少し透明度が低いガラス板が出来る。


ホームセンターで購入してきたカッターナイフを使って慎重に形を切り出し、これもホームセンターで調達してきたサンドブラスターで表面を削っていくと透明度が上がってきた。


「うーん、やっぱり既製品のサッシには及ばないけど、まあこんなもんかな。」


出来たガラス板を出来た家の窓に嵌めていくと一応家は完成する。


「さあ後6棟か。どんどん作っていくかな。」


ガラスを作っている間にも次々と他の家が建っていく。


「よしこれで終わりっと。ガラス作りもだいぶ上手くなったな。」


最後のガラスを嵌め終わりヒロシが一息ついていると、ミーアを含めエルフ達全員が外に出てきていた。


「ヒロシーお疲れ様ー。」


ミーアが平常運転で声を掛けてくるが、他のエルフ達は唖然としてこちらを見ている。


「ミーア、あっ皆さん、家は出来ましたよ。後は温泉ですね。

そうそう、皆さん木工は得意ですか?家具を作って欲しいんですけど。

大丈夫ですか?」


エルフの皆さんが高速で頭を縦に振っている。


「大丈夫そうですね。じゃあお願いしますね。木はゴーレムに用意させますね。

ゴーレム木を切ってここに積み上げるんだ!」


ゴーレムが動き出したところで固まっていたエルフさん達が再起動を始めた。


「よし、みんな頑張って家具を作ルゾー。」


村長のカザミさんがみんなに号令を掛けるとエルフ達が一斉に動き出した。


木魔法で器用に丸太から材料を切り出して繋げていく。釘とか使わずに切れ込みを上手く使って組み立てているのだ。


この調子なら最低限生活に必要な家具はそう時間がかからずに作れるだろう。


「さあ、俺は温泉作りだな。そうだ東屋も大きめに2つ作らなきゃな。」


俺はゴーレムを生成しながら温泉を2つと東屋2棟を作成していった。


半径5mの範囲でゴーレムを生成、50cm四方の立方体を500個程度作り、掘った穴の周りに100個くらいを並べて囲むのと同時に真ん中に高さ2mの仕切りを作る。



残りは東屋として温泉の2棟を作成。


「よし形は完成。後は火魔法で土の粘土質を固めてっと。」


火魔法ファイヤーを使って浴槽と東屋を熱して土に含まれる粘土を焼き、レンガのように固めていく。


「うん、こんなもんかな。後はゴーレムを生成して源泉からもう1本水路を作って、排水口を引いて終わり。


温泉の完成!うん漏れも無いね。」


木魔法で家具を作っていたエルフさん達も唖然としています。


「皆さん、どうかされましたか?」


「はあー。ヒロシ様、先程家を作って頂いた時も驚きマシタガ、今回の温かい泉デスカ? もう神の御業としか思えないお力を見せて頂きマシタネ。」


「まあ、あまり気にしないでねー。ヒロシはいつもこんな感じなんだよー。」


「ミーア、ちょっとひどいんじゃないか。まあホントのことだけどね。」


「あのーヒロシ様、ミーア様。これは一体何でショウカ?」


「あっそうか、風呂を知らなかったんだっけ。右が男性、左が女性の脱衣所でそれぞれ中で服を脱いで浴槽に入って下さいね。


じゃあ男性はわたしが見本を見せるので一緒に行きましょうか。ミーア女性を頼むよ。」


「わかったよー。女の人達ーついておいでよー。」


俺とミーアの後に恐る恐るついてくるエルフ達を率いてそれぞれの東屋に入っていく。


「「「「「「アーーーーーーー」」」」」


数分後、温泉から気の抜けた感嘆の声が響くのだった。








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る