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このように、かなりの捻くれ者であったが、そんな私にも友人が出来た。

1人は、金城という女だ。放課後の美術室で出会った。学校に忘れ物をしていた私が美術室の横を通った時、彼女を見た。美術部員の彼女はカンヴァスに筆を握って向かっていたのだが、そこに描かれていた絵は、窓際の景色が写真のように描かれた風景画であった。少し足を止め、彼女の絵を見ていた私は、少しの落胆を感じ、足を動かそうとした。その時だ。彼女は、おもむろに、完成したと思われる絵に描き足しを始めたのである。彼女の華奢な白い指は、迷うことなく、筆に、血と見間違える程赤い赤い絵の具を練りつけた。そして、真っ赤になった筆で、彼女は風景画に、細かく言えば風景画の窓の所に、真っ赤な丸を塗りたくった(後で聞いた話だが、これは夕日をイメージして描いたらしい)。彼女は気づいていた。私の存在に。彼女は気づいていた。私の絵に対するエロティシズムに。私は、忘れ物の事など忘れ、彼女に駆け寄った。

「君、名前は、なんだい。」

彼女は筆を置き私と目を合わせた。

「金城明美。あなたは、確か、ゆうって呼ばれてる…。」

「そう。同じクラスメイトの。」

こんな具合で、彼女と友人関係となった。

もう1人は、佐竹という男だ。学校の帰り道、車に轢かれた狸の死骸をまじまじと眺めている彼を目撃した。私はそんな彼の元へおもむろに近づき、

「どう思う。」

と質問した。

「少しばかり、血が少ないね。」

彼は私と目を合わせることも無く、狸の肉の繊維1本1本を眺めて言った。

「触らないの?」

「狸の死が汚れるだろ。幾ら畜生の死骸と言えども、最低限の敬意ってもんがあるぞ。」

私は、この痩せ気味の不健康そうな少年を、ひどく気に入った。学校を聞くと、同じだということが分かったので、私はしばしばこの2人のつるむようになった。退屈な授業中、私は、彼らと何を話すかを考えていた。金城と佐竹はやはり似たもの同士ということもあり、仲良くできていたようだ。私は、「真っ当」な中学生活というものを、異常なメンツですることになったのである。

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