夢のトイレ

 いくつかの夢で見たトイレの話です。

(下ネタですみません)


 「夢でトイレに行く」それすなわち「粗相してしまう」という無意識の抑止力が働くらしく、夢で見るトイレは不思議空間。


パターン①とにかくやりにくい

 サーカス団や忍者も真っ青な身体能力を求められる。

 足がつりそうになって起きるか諦める。


パターン②豪華過ぎて汚せない

 本当にここにしていいのか、というくらい美しい。

 漆塗りだったり、繊細な焼き物だったり、美麗なタイルだったり、とにかくもったいない精神が発動して起きるか諦める。


パターン③恥ずかしくてできない

 個室のように区切られていなくて人目がある。

 なんでトイレの壁やドアがないの? と憤って起きるか諦める。


 毎回、手を替え品を替えてくれる夢には、本当に恐れ入ります。


 20210610の夢では、珍しく現実世界の自分で、自分がトイレに行きたいわけではなくて、子どもをトイレに連れて行く流れだった。


 案内されたトイレは、なだらかな丘で、壁や個室などはなく、見通しの良い場所。

 美術品の横に名称が書かれて置いてあるような木製のスタンドがひとつずつ置かれていて、それぞれに流麗な筆文字でなにやら書いてある。

(書かれているのは、各トイレの名称となっているお香の名前っぽい)


 スタンドの近くには、お香や、おそらく香りの出る原木や葉がカゴの中に入っていて、種類に対応した火をつけられるような土台も用意されている。


 半透明の白石が敷き詰めてある長方形の穴がトイレ本体らしく、使用後にかぶせるであろう木製のフタもある。


 あちこち見たものの、人がいたり、いなくても使用済みで使えない(フタがかぶせられている)。これはと思った場所は人通りの多い場所で、子どもは恥ずかしいと言う。そりゃそうだ。


 さんざん探して、端の方に空いている場所を見つけて子どもに使ってもらった。

 そこのお香は線香型ではなくて、肉厚の生葉をカゴにのせて炙る形態だった。こんなの初めて見たよ。


 どちらかというと、トイレというよりもお墓みたいだと思った。


 さて帰ろうとしたら、土の山だと思っていた丘が、つるっとした素材に変わって、雨が降ってきた。石やスタンドやフタやお香は消えている。洗い流している? 掃除?


 目覚めてから布団の中で、なかなか雅なトイレだったなぁと思い返していたら、「おしっこ出た~」と子どもが起きた。


 まさかの連動ですか。


 子どもも同じ夢を見ていたかは聞いてもわからなかったけれど、これからは、夢の中では子どもをトイレに連れて行かないようにしようと思った。

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