「とにかく可愛い西沢さん!」 勇気を出してお婆さんを助けたら、学園のアイドルが陰キャなボクの彼女になりました。 ~ドラマみたいなカッコいい恋じゃない。だけど僕は目の前の君に必死に手を伸ばす~

マナシロカナタ✨2巻発売✨子犬を助けた~

第一章 とにかく可愛い西沢さん(1)

序:とにかく可愛い西沢さん

「佐々木くんってお昼はいつもパンか学食だよね? お弁当作ってきたんだ。一緒に食べようよ」


 スクールカーストの底辺を生きる僕の席までやってきた学園のアイドル西沢さんが、女の子が食べるには明らかに大きすぎるお弁当袋を見せながら微笑んできた。


「えっ、お弁当を作ってきてくれたの? 僕のために?」


「昨日ほら、好きな食べ物と嫌いな食べ物を聞いたでしょ?」


「そう言えば聞かれたね。もしかしなくてもお弁当のためだったんだね! ありがとう」


「えへへ、そうだったんだ」


 西沢さんがふんわり柔らかくはにかんだ。


「早起きしたって言ってたけどもしかして――」


「男の子にお弁当を作るのは初めてだったので、それなりに気合を入れましたから」


 あ、西沢さんがちょっと得意げな顔をしてる。

 ふふん、って感じだ。


 そんな少し子供っぽい顔もまたすごく魅力的で可愛くて、お弁当を作ってきてくれたってことも相まって、僕はもう心が幸せの2文字で溢れてしまいそうだった。


「でも2人分なんて大変だったでしょ?」


「量が増えるだけだから実はそうでもなかったんだけどね。どちらかって言うと味付けを失敗しないように微調整するのに時間がかかった感じかなぁ」


「やっぱり時間がかかってるよね。ありがとう、本当に嬉しいよ」


「わたしも佐々木くんが喜んでくれて嬉しいな。頑張って早起きした甲斐がありました」


 そんな風に、早起きしてお弁当を作ってくれた西沢さんに、僕は感謝の気持ちを伝えていたんだけど――。


 そこでクラスメイトのほとんど全員の視線が、僕と西沢さんに向けられていることに気が付いた。

 誰も彼もが驚いたように僕たちのことを見つめている。


 うっ、そりゃあそうだよね。


 学園のアイドルと呼ばれ、知らない生徒はいないであろう西沢彩菜が、スクールカースト底辺の冴えない男子と朝から仲良さそうに話しているだけでなく、なんとお弁当まで作ってきて一緒に食べようと言ったのだから。

 

「えっと、今日は天気もいいし、中庭にでも行かない?」


 そんな微妙な空気だったので、このまま教室で一緒に西沢さんの手作り弁当を食べるのは恥ずかしすぎて精神が持たなさそうで、だから僕はやや小声で場所の移動を提案する。


 それで西沢さんもやっと周囲の視線を集めていることに気が付いたのか、


「はうっ、みんな見てる……い、行こっ?」


 一気に顔を真っ赤にすると、僕の手を取って教室を出ていこうとする。


 手を繋いだことでよりいっそう周囲の視線を集めてしまってるんだけど、今の西沢さんはそこまでは思い至っていないみたいだった。


 スクールカースト底辺に位置する冴えないモブ男子。


 そんな冴えない僕にどうして、西沢さんのような学園のアイドルとまで呼ばれる可愛い女の子が、手作りのお弁当を作ってきてくれるようになったのか。


 話は少しだけさかのぼる――



―――――――


いつもお読みいただきありがとうございます(*'ω'*)


第8回カクヨムWeb小説コンテストがスタートしました。

「とにかく可愛い西沢さん!」も参加しております。


気に入っていただきましたらぜひフォローと評価(☆)を入れて頂けると嬉しいです!


☆は3回まで押せますよ!

なにとぞ~(*'ω'*)b

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る