第2話 そして僕は降り立った

―ログイン―


 ログインするときにちょっと酔ったみたい…

 深呼吸しながらあたりを見回すと黒い空間が広がっていた。

ここって待機部屋みたいなものなのかな?案内が来るまで大人しくしていたほうが良さそうだし座っておこう。



「初めまして、プラネテスへの来訪者様」

 

 後ろに振り向くといつの間にか眩い光に包まれた人型いた。この人が話しかけてきたのかな?


「こちらこそ初めまして。えっと…プラネテスというのは…?」


「あなた方から見て異世界にあたります。他に質問がないようでしたらこのまま転生する人物を決めていきたいと思いますが。」


「あ、もう1個だけ質問いいでしょうか?転生というのはどういうことでしょう?」


 その問いに答えるかのように光はある映像を流し始めた。

 あれ…?これってもしかして…


「あなたはVR機器ミラルドを付けた際に脳が焼け切ってしまい、その不運を哀れんだ私があなたを別世界へと転生させると言うことです。」


 えぇぇぇぇ!?確かにあの姿は僕だしログインするときに酔った感じがしていたけど、、まさかの事故…


「な…なんというか…救ってくださいありがとうございます…まだ心の整理が出来ていませんが…」


「と、言う様式美は冗談です。ちゃんとログアウトすることが出来ますよ」


 ちょっと光人間さん!?本気で信じちゃったよ…というかこの人多分おちゃめな女性なんだろうな…光っていて分からないけどクールな人が慣れない冗談を口にしたって感じがするし…



「まずは姿から決めていきましょう、身長、体格、顔は弄れませんので髪型、色、化粧とチャームポイントの有無をお願いします。」


 僕の身長155cmで男からしたらかなり低めだし女顔なんだよね…女の子に見られても気にしないんだけど男から告白されるのはもう嫌だな…ゲームだし男って伝わるのもすぐだろうから大丈夫と思いたい。


「なら髪はリアルと同じでボブの…えっと…現地の方々って髪の色どうなっていますか?」


「大多数は茶、金になります。少数ですと属性に反映されることがあります。例えば火属性の竜族なら赤など。まぁ属性に左右されず種族性もあるのであてになりませんが…」


「なら髪色は金と茶の間ということで蜂蜜色にするかな。化粧はしたことないからリアル順守、チャームポイントとしてほっぺたにピンクのハートマークを小さく入れておこいてっと。」

 

 …うん、髪色とハート以外は僕だね。これでキャラクター作成は出来た。

あ、聞いておきたいことがあった。


「そういえば先ほども竜族の説明がありましたが、別種族も作成できるのでしょうか?」


「いえ、種族は人族固定になります。羽や尻尾など人族に存在しない部分を動かすというのが難しいためです。」


…まぁ赤ん坊からその種族にいたら違和感なく出来るだろうけど、いきなりは無理だもんね。


「では次に職業を決めてもらいます。どの職業でも基本ステータスは5に職業ステータスとリアルの身体能力を加算したものになります。ただし、差がつきにくいようにリアルでの身体能力の加算は少なくなります。」


…ほうほう、リアルで足が速い人はゲームでも速めになるってことかな。


「職業ステータスによる変動は合計10になります。ただしレベルアップ要素がないのできちんと鍛錬しないとステータスは上がらないので注意してください。

そしてステータスの値は非表示なので他の人と比べることが出来ません。見えると争いになる部分もありますからね。」


 確かに…見えないからこそ鍛えるしステータス振りで人権が発生するなど起きないだろうね。

 職業はどんなのがあるのかな?


<戦闘職> STR  VIT  DEX  INT  MND

・剣士   +2   +5   +3    0    0

・戦士   +5   +3   +2    0    0

・治癒士  +1   +2   +1   +2   +4

・魔法使い +1   +1   +2   +4   +2

・弓使い  +3   +2   +5    0    0


<生産職> STR  VIT  DEX  INT  MND

・鍛冶師  +4   +3   +1   +1   +1

・裁縫師  +2   +2   +4   +1   +1

・薬師   +2   +1   +3   +2   +2

・錬金術師 +2   +2   +2   +2   +2

・彫金師  +3   +2   +1   +2   +2


STR:筋力-装備重量、物理攻撃増幅量に影響

VIT :体力-スタミナ、物理防御増幅量、走れる距離に影響(重量によりスタミナ消費量が変わる)

DEX:器用-命中率、遠距離攻撃増幅量、生産のしやすさに影響

INT :知力-魔法攻撃増幅量、最大魔力増加量に影響

MND:精神力-状態異常抵抗、回復力増加量、魔法防御増加量に影響


 ステータスを見る限りSTRとVITの関係が気になるな…これだと後衛が金属製というか重めの装備するにはある程度筋力や持久力を鍛えないといけないね。

あとは生産職でも金属を扱う職は筋力、火を使うなどは体力もないと厳しいってことか…各ステータスをきちんと伸ばさないと戦闘職も生産職も大変だね。まぁ生産職だと敵に対する攻撃にマイナス補正かかるみたいだし倒すのは難しそうだ。


「質問良いでしょうか?例えば弓など木を主体とした制作はどれになるのでしょうか?」


「基本的には武器は鍛冶、防具は裁縫、アクセサリーは彫金に分類されます。ただし各人の得意不得意によって品質が変わります。また、家具などは制作方法がスキルによる簡略化対象外のため難易度が高いです。」


 …ということは基本的に制作は上手く作れるならばスキルで簡略化しないほうが品質が高くなる、ということか。自分の考えたものを形に作れるならやりがいあるね。

ただ、その難易度がリアルでも制作できるほどじゃないとって言う部分もあるのが厳しそう。


「なら僕は錬金術師を選ぶよ!」


 というか、この生産職リストから考えると魔法武器や魔道具、特殊な物を制作するには錬金術による複合な気がするし!


「それではプレイヤーネームを決めてください。」


「んー…水島…water island…aqua…ありきたりだし渡の読み方変えたwatariで。」


「はい、それではこれですべての設定が完了しました。

これよりプラネテスへ送ります。」


「ありがとうございます!向こうの世界に行ってからも会うことって出来るのでしょうか?」


「…もし信仰が高ければ祈りが届くやもしれません。」


「わかりました!落ち着いたら教会でお祈りしてみたいと思います!」


「ではwatari、あなたの旅立ちに幸有らんことを。」



 …行きましたか。watariのように素直な子なら終始楽しく過ごせるのに、ほんと人は欲深く話を聞かない…地球側の神からはなるべく同条件で転生させてほしいと言われていますが差を付けたくなりますね…

 ステータスで差を生じさせたら問題ですから酷い者は初期金額を減らしましょう。


 さて、次の者が来ましたか。早く済ませてwatariがどんな生活を送るのか観察しましょう。

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