コンビニの訪問者 17


連休明けに登校すると、『【スクモ塚】を荒らした犯人が三波さんと三盛夕子(他校の生徒)だった。』というニュースで、学校は既に大騒ぎだった。さっそく薫ちゃんがやって来て、興奮気味に話しかけて来た。



「理子ちゃんおはよう!ついに私達の努力が実ったわね!」


「良かったわね薫ちゃん。残念ながらその努力は公表出来ないけどね。」


「そうなのよね~。一応、レポートは書いておくつもりだけど…… 」


「バレたらマズくない?」


「誰も本気にしないわよ。あ、それと倉本先輩のお母さんから『昨日退院した。』って連絡があったよ。」


「良かった~。心配してたんだ。」


「それでね。新しいバイトの人が見つかるまで、暫く私…メープルでバイトする事になったの。坂野君も手伝ってくれる事になったのよ。」


「えっ!?そうなの?」


「毎日じゃないけどね。先輩も直ぐには復帰出来ないし……

同好会活動は元々週1だから、問題無いでしょ?」


「まぁね。それにしても、よくあの坂野君がバイト承知したわね。」


「まぁ、そこはいろいろあって…… 」


「ふ~ん。そうなんだ……

で、その坂野君はどうしたの?

下駄箱に靴はあったから、学校には来てるんでしょ?」



そう質問すると、薫ちゃんはちょっと意地悪そうな顔をして、こう言った。



「今頃、校長室で校長と佐藤先生に頭下げさせてるんじゃない?校長はどう思ってたか知らないけど、佐藤先生は完璧に坂野君が犯人だと思って、皆んなに誤解させる様な態度取ってたんだから、当然よねー。」



まぁ確かに……

地元組は坂野君の事信じてたけど、他の人達は佐藤先生の言動の所為で、疑ってたものねーー。



せっかくの高校生活、変な事にならないと良いけどなぁ。



暫くして教室に入って来た坂野君は、凄く嬉しそうに、私達に勝利のVサインをして見せてくれた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(数日後…… )



「ねぇ聞いた?2組の三波、転校したんだって。」


「えっ?あの《嘘つき三波》が?」


「私、あの子の所為で酷い目にあった事があるから、これで安心して高校生活がおくれるわ。」



そんな話を教室に着くまでに、何人かの人達がしているのを聞いた。

三波さん…どんだけ嫌われてたのよ。



教室に着いても、皆んなの話題はその事ばっかり……



「おっはよ~理子ちゃん♪」


「おはよう薫ちゃん♪」


「ちょっと小耳に挟んだんだけど、どうやら三盛さんの方も大変な事になってるらしいわよ。」


「大変な事?」



『寮で泥棒してたのがバレて、警察に捕まった。』って、徳さんが言ってたけど……


「ここじゃマズいから、後で国語資料室(同好会室)に来てくれる?」



教室じゃマズいって、どんだけ?

その日の昼休憩は、詳しい話を聞く為に薫ちゃんと坂野君と一緒に、国語資料室(同好会室)で取ることになった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


昼休憩…お昼ごはんを食べながら、薫ちゃんの話を聞いた。



「『寮で泥棒してたのがバレて警察に捕まった。』っていうのは、もう知ってると思うけど、その際…親とまったく連絡取れなくて、かなり揉めたらしいのよね。」


「親と連絡取れないって、それヤバくね?」


「三盛さんの両親…実は、連続空き巣犯じゃないかって噂があるのよ。」


「えぇっ!?マジかよ?」


「あくまで噂だけどね……

あ、そろそろお昼のニュースの時間だ。こういう時は、浦ちゃん(※1)の顔でも見て癒されよう。」



そう言って、薫ちゃんは国語準備室にあるテレビの電源を入れた。

すると、『三盛友二容疑者(37)と三盛カナエ容疑者(36)を住居侵入と窃盗で【全国指名手配】する。』と広島県警と警視庁から発表があったという報道が流れた。


…… 。


…… 。



そう言えば、近隣の市町村でつい最近まで『空き巣が頻発していた。』って聞いた事があったわね。アレってそうだったのかな?



「三盛の親って、かなり若いんだな…… 」


「普通に仕事すれば良かったのにねぇ。」


「う~ん…これ以上は流石に、私達が立ち入る案件じゃないわね。ここから先は、警察の仕事…… 」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


※1


某局の人気女子アナウンサー。

そこに居るだけで癒されると評判。

主にバラエティー番組担当。



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