コンビニの訪問者 11

【三波マサエの場合】



(三波マサエ視点)


リビングでテレビを見ていたら、携帯に電話がかかって来たの。



いつもなら、非通知の電話は取らないんだけど、この電話は絶対に取らないといけない気がしのよね。



出てみたらビックリ!なんと最近私の事が好きになって、態々ダイエットまでしてくれた、学校とバイト先の先輩からだったのよー♪



〔こんばんは、三波さん…実は折り入って君に話があるんだ。電話じゃ無くて直接話がしたい……

【寛現寺】の裏の林に7時に来てくれるかな?

待ってるから…… 〕


「7時ですね!わかりました♪絶対行きます♡」



プツン



『電話じゃ無くて直接話がしたい…… 』

きゃーー!!

コレってやっぱり“告白”よね!?



先輩ってば、ずっと私に何か言いたげな感じだったし、シフトだってずっと一緒。

それほど、私は魅力的なのね♪



しかも誰だかわかんないけど、最近になって私をいじめてくる人がいるの!

きっと私が可愛いから、皆んな嫉妬してるのね。



どうしよう?私…急に方向音痴になって、偶に目的地になかなか辿り着けなくなったりするのよ。



だから、親に『用もないのに家から出るな!』って言われているけど、コレは大事な用事よね!



見つかるとヤバいから、こっそり出掛けたわ。



「センパ~イ!何処ですかぁ~?貴方のマサエはココですよ~♪」


「こっちだよ三波さん。」


「えっ?センパ~イ♡どこですかぁ?」


「こっちだよー。大きな木の下だよ。」



先輩の声のする方へ行くと、物凄く大きな木があったの。

きっと《この木の下で告白されたら、幸せになれる。》のね♡

知らないけど……



「も~う!センパイってば、焦らさないでいい加減出て来てくださいよう♡」


『さっぶ!』


「???センパイ?」



そう言った途端に、何故か生暖かい風が吹いて、上から何故か《半分透けた卑弥呼様みたいな人》が降って来た。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「妾の名は、スクモ!この地を治める土地神じゃ!!よくも妾の家を荒らして、妾の大事な鏡を壊したなぁ~!」

(エコー付き)



「ギャーー!オバケーー!!」



そう言って、三波さんはぺたんと地面に尻餅を着いた。

えっ?何それ??今まで全く気づいて無かったから、平気なんだと思ってたのに、まだ序盤だよ?



なんか、予定と違うけど豆狸(キツネ)の神通力で、私の周りには何故か“狐火”があって恐ろしさを演出している。



「〔妾の鏡を返せ~!返さぬと一生呪ってやる!取り憑いてやる~!!早よう妾の鏡を返せ!!〕」



って今のは私じゃなくて、田口さんだ!

何か私が言うより彼?に任せた方が良くない?

というかそれ、私の声じゃないし!



三波さんもビビり過ぎて、その事に気づいてないし、こっちをちゃんと見てない。私か喋ってない事にも、気づいてないみたいだし……

やる事が無くなったわね。



そのまま上から見てると、六(りく)達が居る場所とは違う方向から、ガサガサという音がした。



どうやら雑木林の中を、何かがこちらに向かっているみたいね。その音の正体は……



タヌキだった……

な〜んだタヌキかぁ…て、アレって徳タヌキじゃない!?

アレ?じゃあ、あの徳さんは?



{回想}

『あ、“お嬢ちゃん”も向こう行っててね。流石に本来のアイツの仕事と、違う事を頼むんだから会わない方がいい。念の為だけど…… 』



あぁっ!あれって徳さんじゃなかったのね!?そうか、あれって稲荷狐(キツネ)だったのね!

という事は、もしかして満月の方も?



三波さんはというと、どうやらタヌキのたてた音に余計ビビッたらしく、完全に腰を抜かした。



そこへ今度は、満月タヌキがガサガサとやって来たもんだから、三波さんはついに気絶してしまった。



それを見てクビを傾げるタヌキ達。

そこへ薫ちゃんがやって来て、三波さんを介抱する。



三波さんが気絶している間に、皆んなが来て私に結ばれていたロープを切ってくれた。

そして気づかれない様に、速やかに撤退。



後は任せたわね薫ちゃん!!








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