第4話 平和

 新しいヒーローのお陰で、また尼崎の町に平和が戻った。嵐山達も尼崎城も無事であった。

しかし、嵐山達はしでかした危険な行為のせいでこっ酷く怒られる事になった。


「新しいミラクルワン……、いいなあ」嵐山がボーッと空を見上げながら呟き、ため息をついた。


「どうしたんだ?」秀幸は何だか様子のおかしい嵐山を気にかけた。


「い、いや……、別に……、でも、もしかして……」彼は秀幸の顔をじっと見る。


「何だよ!気持ち悪い!!」なんだか背筋に悪寒が走った。



「話が違うではないか!?ミラクルワンとアブー女王は、日本には居ないと言っていたではないか!!」男が部下を怒鳴り付ける声がする。


「閣下、恐れ多いですが、確かに情報によりますと二人は、息子を残してハワイへと旅立ったと聞きました。それに、あれは……」言葉を濁した。


「息子……だと?」閣下と呼ばれた男はガクリと椅子に腰を落とした。


「はっ、そのように聞いております」


「いいか、アブー女王が不在の今、この奴等の愛する尼崎市を廃墟と化すのだ。そしてミラクル星人の無力さを徹底的に知らしめるのだ!


「はっ、御意に!」部下の男は立ち上がると、お辞儀をしてから姿を消した。


「アブー……」閣下はポツリとその名前を呟いた。

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