第13話 『悪人列伝』に手を伸ばす

 こんにちは。草原守拙です。


 井沢元彦の『逆説の日本史』を読んでおりますと、やたら海音寺潮五郎先生の『悪人列伝』からの引用があります。

 海音寺潮五郎先生はご存知ですか? 昔、世界のケン・ワタベではなく、ケン・ワタナベが主演をしていたのに急性白血病になってしまい降板して、榎木孝明が代役をした、角川春樹大先生の映画『天と地と』の原作者であり、我が母校の大先輩(もちろん学部は違いますけれど)でもあり『評伝小説』というジャンルの先達でもあります。


 蛇足ながら、我が校には南條範夫先生が経済学部の教授をしていました。こちらも著名な『歴史小説家』ですが、一足違いで定年退職されていてお会いできませんでした。

 

 さて、海音寺先生の文章は硬質ですのでちょいとばかし、読みづらい文章なのです。ある程度日本史の予備知識を必要とする文章なので、珍紛漢紛なところがあります。そこが難点のど飴でした。VC3000のど飴ではないです。舐めたらあかんぜよ。


『悪人列伝』は『武将列伝』に続く『評伝小説』の嚆矢なのですが、海音寺先生曰く「『武将列伝』ほど、世間にウケなかった」そうです。

 実はわたし、何年も前から両方所有しているのですが、いまだに完読していません。理由はお察しの通り、難しくて読んでいられないからです。タカラトミーではなく宝の持ち腐れで、長年カラーボックス(書棚の代用)の肥やしでした。


 ところが、多くの歴史小説や『逆説の日本史』などで、少しばかり、付け焼き刃の知識を得たので「もしかして?」と軽く読んでみましたら「ああ、いけるかも」となりまして、購入して約十年にして日の目を見そうです。

 いやはや、そうすると今日から毎日、七刀流読書です。多すぎるかな? しかし、一冊を一日で読む量は少ないですから、飽きっぽくて冷めやすい性格のわたしには性があっているのでしょうか? 全体の読書ページ量は増えている感じがします。あくまでも、主観ですが。それに時間が空くわけではないので「何の話だったか?」というボケはありません。(多少、前の行を見ることもありますが)


 複数の本で同じ事件や人物を見ていると、当然食い違いや視点が違う一方、共通点も多いので「おう、あれは事実か!」「ありゃあ、ウソか? JAROに連絡だ」となり面白いですね。でも考えてみれば『元史料』はみな同じなのですから、小説家はもちろん歴史学者もかなりの想像力がないと、空白を補填した自説を作り上げられませんね。だからこそ、議論が生まれて面白いのですが、決着は『タイムスクープハンター』の要潤に調査してもらい『映像史料』を持ち帰って公開して貰わねば絶対につきません。逆に言えば、実写映像をみれば一目瞭然です。

 ああ、一目瞭然とは我が不動明王がいつも片目だけで世界を見ているというところから来たんですよ。明王レベルになりますと両目を開けると目に入ってくる情報が多すぎて、逆に判断に困るという意味だったと思います。


 思わぬ形で長年の置くだけブルーレットではなくて、置物だった海音寺先生の著作を紐解く契機ができてよかったね〜、嬉しかったね〜と「もう中高年」というピン芸人として再ブレーク……いや、まだかつてブレークしていませんでした。脳みそは大ブレーク(ぶっ壊れている)していますが。アドバンテージ、わたし。


 そうでした。わたしがプロテニスプレイヤーだった頃、ローランギャロスの土を高校球児のように持って帰ってきて、成田の税関で捕まえい、没収されたのは今ではいい思い出です。ウィンブルドンの芝は密輸できたのですがね。(ウソ)


 さようなら。

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