第25話 極端な描写も必要です
「そういえば「コレクション」機能が増えてさっそく活用しているのだな」
「そうですね、短編やKAC2021で本数が増えましたからね、ありがたいことです」
「で、連載中の中に今の長編と、例の恋愛モノが含まれておるな」
「連載中ですからね」
「更新が滞っているな」
「需要がありませんからね」
「きみな、読まれたら名作、読まれなかったら駄作という考えはどうかと思うぞ?」
「優劣の話はしていません。需要と供給の話です」
「恋愛ジャンル、賑わっておるだろうが」
「偏見かもしれませんが、やはりレーティング付きは強いのかもしれません」
「確かに、PC版とPS版、どちらを買うかと問われたら、より実用性の高い方を選ぶのは必然だろう」
「実用性とか言わないでください。ノクターンじゃないのですから」
「無修正と水着どっちの需要もあるのだぞ?」
「なんでいつも例えが18禁なんです?」
「人間だからな、原初の欲求に逆らえば淘汰されるのだ」
「そこに至る過程も重要だと思うんですが」
「そう思うからこその恋愛観を表現しているのだろう?いいじゃないか、きみの内臓を開いて見せることも大事なことだ」
「……内情ってことですか?そんなつもりもありませんが」
「理想のカップル、理想のシチュエーション、理想の会話、どれもこれもきみの願望だろう?」
「想像による創作です」
「ハードエロもNTRも好きなくせに採用しない理由はそこにある。楽しむものと、自分の世界にあるものは違う。外では傍若無人に振舞い、中では聖人君子を気取る」
「自分の内面くらい優しい世界でありたいじゃないですか」
「創作の幅を広げるためにも、極端な描写を試すのは悪いことではないぞ?」
「愛着のある登場人物をひどい目にあわせたくない、というのは感傷ですか?」
「だから勧善懲悪という概念があるのだろう。誰が見ても裁かれる対象としての悪役はそのために存在する。ずぶ濡れの捨て猫を拾う悪人がいてはいけないのだ!」
「不思議ですよね、連続殺人犯であっても生い立ちや環境、猫が好きだったなどの情報が付加されるだけで情状酌量の余地が生まれますもんね」
「軽犯罪であっても猫を虐待する犯人なんかは時に最大級の怨嗟に晒されるものだ」
「つまり、猫を虐待する悪いヤツを登場させて、そいつをメッタメタのギッタギタにすればいいんですか?」
「それじゃ猫が虐待されてしまうではないか!」
「じゃあ犬ですか馬ですか象ですか?」
「なんで動物を虐待しようとするのかね」
「インサイダー違反や有価証券取引法等の犯罪じゃ共感を得られないですからね」
「人をコロせばいいだろうが」
「悪いヤツを定義するためにソイツに善良な人を殺させるんですか?結局善良な人が死ぬんですか?嫌ですよそんなの」
「ふむ。そう考えると悪役を規定する手法とは難しいものなのだな。……そうだ、部下に対し無理難題をふっかける腐れ上司なんてどうだ?」
「自分から悪役宣言とは頭が下がりますね」
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