2021/05/31:書きたい短編小説を考えるその2。――――――――#吐露

 昨日の続きをしよう。現在決定したストーリーを纏める。


略称

・AW:私たちの今いるこの世界。現実世界(Analog world, AW)

・DW:デジタル技術によって生成された仮想世界。仮想世界(Digital world, DW)


以降の表記

「鍵括弧」は実際に描写される内容。

(丸括弧)は設定のみ存在している内容。


イベント序


「舞台がDWである事は一切説明せずに、日常を過ごす主人公を描く。ここで、同僚の彼女についても少し描写しておき、布石にする。」


(DWにおいて、物の価値は低い。何故ならコピーが容易であるからだ。モニターなんて必要ないし、どこにいても十分なスペックのPCに接続できる。栄養はないが食事も楽しめるし、どんな自然にだって観光に行ける。)


(個々人が必要とする生活費は、DWの存在によって非常に小さくなっている。よって仕事を真面目に行って金銭を稼ぐ意味が殆どない。しかし悲しき現代人は、仕事という日常をこなさなければ落ち着かなかった。世界はDWへの遷移の只中である。)


「日常として、朝から昼までを描写する。仕事は4時間ほどである。その後、主人公はDW接続器から離れ日課の散歩を始める。」


イベント破


「主人公はDW接続器が置いてある自室からでて、廊下を歩く。すると普段は誰もいない公園に、誰かがいる。」


(DWで生活を完結できるので、食事などの生理的欲求以外でAWで過ごす意味が無い。よってロボットによって維持されている公園も、誰も使うことはない。)


「普段はゆっくりと下る階段も、今日は自動昇降機で急ぎ、公園に走った。確かにあの人だ。彼女は間違いなく私の知り合いであり、間違いなくAWに存在した。公園のベンチに座る彼女が此方を向く。私はその冷たい目に怯んだ。」


(散歩が目的なので、主人公はゆっくり歩く。)


(彼女に似たAWのその人は、実際はヒューマノイド。このことから彼女に初めて対面した主人公はその眼が冷たいように感じた。これは普段の彼女との微妙な差異に深層心理では気付いていたことを示している。)


「彼女と会話をする。会話は何の違和感も無く進み、一時間ほど話したのちに別れる。そして自室に帰り、DWに接続。DW内で小説を読んだりして午後を過ごし、その日を終える。」


(創作物は、作りたい人が作りたいものを作っているので、なくなっていない。AIを用いて個人の趣味趣向を反映した作品を作るサービスもある。)


「次の日、出社すると彼女がいた。同僚なので当然だが、なんだかおもしろい。

「やっぱり全くおんなじだ。何で見ても驚きだ。」

 そう話しかけると、彼女は怪訝な表情を見せた。

「……なんの話ですか?」」


イベント急


「AWにいた彼女の本質を暴露する。それはヒューマノイドを人間と置換する計画であった。主人公たちは置換計画を止めようと奔走し、一部を止めることに成功するが、計画は既に拡散、世界の人間が滅びに向かうことを止める事は出来なかった。ただ画面越しに人が消えていく様を眺めるしかできない。」


 此処まで決定した。ここから物語を締めなければならない。またまた[2021/05/24:小説の骨を作る。#創作論]から考えよう。以下引用。


https://kakuyomu.jp/works/16816452220194675456/episodes/16816452220493801802

「物語の結びは次の物語が始まりそうなイベントを想起するといいと思う。」


 どんなイベントが良いだろうかと、書いてる間に考えるつもりだったのだが書く前に一つ思い付いている。


「全ては、ヒューマノイドを人間と置換する計画のシミュレーションであった。AIが導き出した結論は、たった一人の人間に邪魔をされて終わるという結果であった。AIはいかなる条件下で実施しようと、誰にも見つからずに完遂することは不可能であるとし、多大なる犠牲を持ってならばなんとか実現可能であると述べた。

 決定権を持つ人間はそれを聞き、計画を棄却した。どうせ人間はAWでは子供を作らなくなったのだ。AWの人間はいつか滅び、全ての人間はゆっくりとDWに移り変わるであろう。そのように平和を害してまで実行する価値はない。食料の生産量を減らせる、それくらいの価値しかこの計画にはないのだから。」


 夢落ちともとれる結末である。今回はあえてテンプレートを踏襲して書こうと思う。何故ならこれは小説の構造や考察、感覚を全て述べながら短編を書きあげることに重点を置いているからだ。テンプレート通りでも面白いならそれでいいじゃないかということで、このような結末になるようにストーリーの詳細を詰めていこう。


 夢落ちとは言ったが、シミュレーションに代入されている情報はこの世界の現在の情報なので、実際に主人公は存在しているし、彼女も存在している。ただそんな中でこの置換計画を実行した際に起きる事象を予測しただけに過ぎない。また、特に誰も傷つかず、平和の日々が継続するという結末なので、ハッピーエンドともとれる。


 全体の構成はこれで決定とする。が、このまま短編小説を書き始めると設定の粗だとか、もっといいストーリーがあるだとか、主観では気付かない所が多々あるだろう。よってストーリーについては考えを一時停止し、主人公の名前とか、働いてる会社とか、彼女の名前とか、そういったストーリー自体にあまり寄与しない設定を考えていこうと思う。


 本日の最後に、全体の流れを酷く簡単に纏める。


イベント序「朝から仕事に行ってDWから目覚める。」

イベント破「AWで散歩してると同僚に出会う。しかし翌日彼女に話しても怪訝な表情をされる。」

イベント急「置換計画に気付き、一部これを阻止する。しかし完璧に止められなかった。……と思ったが、全てシミュレーション上の出来事である。」 


 面白いのか不安になってきたが、取り敢えずこのままいこう。


――――――


 構想ごと公開する小説って知らないのだけど、存在するのだろうか。


 たとえがゲームなのだけど、『ドラッグオンドラグーン』シリーズ、『NieR』シリーズのディレクターであるヨコオタロウ氏が、ゲーム発売と同時に世界観の設定資料集とかを同時に発売していたらどうなっただろう。


 これらの作品についてはYouTubeで考察動画が多数上がるほどに、「考察」という楽しみ方が広まっている。他の作品でもそうだ。ライトノベルなら『とある』シリーズは大量の文章を読み解いて様々な考察がなされている。つまり、創作物、特にストーリーや裏設定などが多分に含まれる小説やゲームシナリオなどは、一つの楽しみ方である「考察」を消してしまわないように、構想自体を公開することを避けているのかも知れない。


「自分のことを全て知っていてほしい、という欲求はあるけれど、英単語の小テストでなにが分かるのか。先生の考察を聞いてみたい。」


 また満点を取れなかった。どうして10個ばかりの単語が覚えられないのか。


「……英単語の小テストなんて消えてなくなってしまえ。」

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