夢枕獏

 往年のラノベ作家、ということで。


 いや、もう、大御所で、ラノベについて語る、という設定では語ってはいけない気がする……タグ追加しよう(笑)


 と言っても、朝日ソノラマで「キマイラ」シリーズがあったのは見たんだけど、借りなかったんだよね、なんか、怖そうで。

 コバルト文庫にも書いていたみたいだけど、残念ながら記憶にない。

 ただ、何となく名前は覚えていて。


 で、本屋で見つけた「陰陽師」。

 まだブームが来る前。個人的に安倍晴明にハマってたので、ホントに偶然目にして即買い。


 超面白かったです。


 何となく夢枕獏はバイオレンスの人ってイメージだったから、静謐などちらかというと淡々とした文章で繰り広げられる怪異と調伏にギャップを感じました。

 結構色っぽいシーンも入っているんだけど、妙にさらりとしていて、むしろ晴明の方が妖艶(笑)


 たしかこの時点で荒俣宏の「帝都物語」を読んでいたので、蘆屋道満のキャラクターが悪辣な敵役から、敵役ポジなんだけど憎めないお人、になってて、それもよかった。絶対悪とかなくて、みんな何かしらの事情を抱えつつ、どうしようにもなく邪悪に転じてしまっている人間の哀しさを、晴明が鷹揚に受け止めていて。


 そして、そんな中でも、最後の砦のようなを愚直なまでの優しさを具現した源博雅の存在が、晴明にも妖にも時に救いとなり。


 長編で新聞連載もしていた「生成り姫」は元々短編で(「鉄輪かなわ」だったかな?)、博雅の哀しいまでの優しさが、ホントに伝わる作品だったので、丹念に描かれていて嬉しかった。


 あと、古文の作品がもとになっていた話が多いので、比較して読むのも楽しかったですね。

 今昔物語とか。


 心が動くとまず横笛吹いちゃう博雅もある意味超然としているけど、それで心を動かされちゃう妖の皆様……博雅がチート過ぎる(笑)


 

 で。


 大ブームが来ました。


 まあ、流行ればどんどん映像化、は自然の流れ。

 色々思うところはありましたけどね。


 ちょっと某国営放送のドラマ化は、かなり……でしたけど。映画の方が、まだ穏やかに受け止められたかな。


 まあ、それをいうと、岩崎陽子の「王都妖奇譚」のドラマ化も、何だかな、と思わないではない感じでしたけど。リアタイで読み切り登場から読んでいたので、思い入れも強かったせいもありますが。


 なかなか納得のいく映像化は難しいよね。


 あ、某国営放送(しつこい!)の映像化で、唯一いいな、と思ったのは、先ほどの「鉄輪」の話。

 博雅役の杉本さんの木訥さが、活きていたな、と思いました。


 でも、この頃から、こーじーのなかでは、「映像化はダイジェスト、いいとこ取りだと思って観る」という諦念が生まれた気がする(笑)


 そういう意味では、最初から二部作にしている「るろ剣」は、思い切りがいいな、と感心。と言いつつファイナル観に行けてないけどね。


 

 

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