眉村卓

 コバルトつながり枠。

 いや、ここで語っていいのかな? でも、こーじーが眉村卓読んだのはほぼコバルトでだし、ね?


 言わずと知れたSFの大御所ですね。「ねらわれた学園」とかは、何故か読んでない……ドラマは見たんだけだけど。ラストが気に入らなくて。もしかしたら原作違うのかな?


 と言うわけで、読んだのはコバルトで短編ばかりなので、語るというのもおこがましいんですが。


 一番秀逸だと思うのは、タイトル忘れちゃったんですけど。


 とある学校のお話。

 バーチャルリアリティが発達していて、生徒も自宅からアバター(本編ではそういう呼び方はしてなかった気がするけど、便宜的に使用します)で授業を受けてるんですよ。

 まるで昨今のオンライン授業を思わせますが。


 アバターは、自分の好きに設定できるし、本人そのままでも大丈夫。主人公が以前アバターを可愛くしすぎて友達に顔を引っ掛かれる、という描写もありました。えらい目に遭ったっていうから、痛みとかも体感できるのかな?

 で、親しい友達とは、プライベートで素顔でテレビ通話とかするんですが。


 でも、その友達(なんか、スイレンとか、ちょっと変わった文字列だった気がする)は、闘病中で、授業はアバターが出席してるみたいですが。

 久しぶりに本人の顔見たら、ものすごくやつれていて、主人公は陰鬱な気持ちになっちゃうんです。


 で、最終的にその友達は亡くなってしまうんですが。

 クラスで担任からその死について報告されます。


……とまあ、ここまでなら、単なる未来の学校風景なんですが。



 最後の、おそらく数行が!



「希望者は今まで通り、○○さんのアバターを表示できます」


 と言うんです!


 で、主人公も希望します。今まで通り、○○さんが笑顔で一緒に学校生活を送ります。


 健康な頃の○○さんが一緒に。


 で、主人公は、思うわけです。


 やっぱり、この方がいいわ。やつれた○○より、よっぽどいい。


 ……的なことを。




 ……………怖いです!


 いや、すでに主人公、友達の死を、忘れてない?!


 いや、事実としては分かっているけど、現実として捉えていない。

 たぶんこの頃から、ゲームとかでバーチャルの死を見すぎて、現実の死を軽んじてる、的な世論が出てきていたと思いますが。


 現実で死んでしまっても、バーチャルで会えるから大丈夫、的な……そして、現代の科学、それが可能な範囲まで進化してしまっています。

 

 わりと淡々とした語り口で、グサッっと撃ち込んで来ますね。


 星新一もそうだけど、未来を予見していたとさえ思える。これが日本を代表するSF作家のイマジネーション力なのか、と感服いたします。

 

 実は雑誌で読んでいただけで、書籍、一冊もない。


 眉村卓は買っておくべきだ、と今さらに思いました。

 

 まずは、「ねらわれた学園」、読もうかな。

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