二十五本目 主の取り分

 肝試しをした時のことです。

五人で来て気が大きくなっていたからか廃墟で酒盛りを始めたんです。

来る途中で買い込んだ安酒をどんどん体の奥に押し込んで益々いい気分になっていく。

だから封を切った酒瓶が一人でに倒れて中身が地面に吸い込まれても笑い転げていました。

唯一素面の運転手が顔を真っ青にして指摘するまで本当に異常なことだと気づかなかったのですよ。

帰りの酔いは酒盛りをしていたのが嘘のようにひきました。

誰も彼も運転手と同じく酔いによるものではない青褪めた顔をして。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る