二十一本目 霧の銀幕
ある合戦跡に行った時のこと。
霧が起きやすいとは聞いていたけれどその日は運悪く非常に濃い霧が発生していて何も見えなかった。
これも縁だと割り切って迷わない程度に歩き回っていたら霧の中から金属のぶつかり合う音や地面を何重にも踏み鳴らす音が聞こえてくる。
導かれるようにして霧をかき分けて進むとどこまでもどこまでも続く長い人影の列が霧の中を歩いていった。
あの地に残ったものが霧の時だけ映し出されるのかも。
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