十二本目 若気の至り

 若さにものを言わせて無理することありますよね。

断眠のギネスを破ろうなんて思い至って実行してしまうのはやはり若さ故です。

四日目くらいになると幻覚が見えるようになるんです。

不思議ですよね、文字が本から這いずり出たり、舞う埃が急降下するんですから。

 寝まいと日光の下を歩いていたら人混みの中に黒いやつがいたんですよ。

踊るように人の間をすり抜けて。

直感的に幻覚ではないと悟りました。

何というか悪意を感じられたんですよ。

その時は逃げましたが逃げようとしなかった続きが今でも夢に出るんです。

いつも気づかれる直前で起きてしまいます。

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