九本目 誘い

 私散歩が日課なんです。

落ちないよう立てられた柵のずっと下を流れる川のせせらぎや魚と鳥の立てる音に耳を澄ませながら自然の一瞬一瞬を見つけるのが楽しみなんです。

 ある日いつもと同じように歩いていると柵の下の川底の魚が一つ大きく水面を乱す音がすると周囲から音が消えたんですよ。

呼ばれたな、と直感しました。

周囲を確認するとこれもまた人の往来がぷつりと途絶えていて確信に変わりました。

柵を乗り出すともう一度音が。

気になりましたけど柵から身を離すと音がもう一つ。

それから呼ばれることはありませんでした。

どうして呼ぼうとしたのでしょう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る