30歳童貞職業フリーター。春から女子高生の従妹と新婚生活始めました。

よもぎ

第1話 家に従妹がやって来た

ピーンポーン。


「うーー。。」


日曜日の朝。


俺はインターホンで起こされた。


「誰だこんな時間に」


俺にとって朝は天敵で本来なら目覚めるはずのない時間帯。


だから、俺はインターホンを無視してもう一度眠りについた。


ピーンポーン。


また鳴らされた。


「無視無視」


ピーンポーン。


「しつこいな」


あまりにしつこいので、しょうがなく重たい体を起こし起き上がる。


宅配か何かだと思いドアを開けると、目の前には制服を着た女子高生が立っていた。


「おはよう、お兄ちゃん」


「お兄ちゃん?」


俺は閉じかかっていたまぶたを擦り、ジーと彼女の顔を覗く。


長いまつげにパッチリとした瞳、髪は少し暗めの茶色で長さはセミロングって言ったところか。


「見覚えがあるような?」


考えがそのまま口に出てしまう。


「いとこの顔も忘れちゃったの?お兄ちゃん」


俺にこんな可愛い従妹居たか?


あまり動いていない思考を全力でフル回転させる。


従妹は確かにいるけど、まさか・・・


「みやびなのか?」


「やっと思い出したの?」


確かに彼女は従妹の春風 雅はるかぜ みやびだった。


でも、俺が覚えているのは子供の頃の彼女。


まさか、こんな可愛くなっているなんて思わなかった。


「ずいぶん大きくなったな」


「今年で18になるからね」


「そんなに時間が経っていたのか」


雅と最後にあったのは俺が22の時だから、あれから8年ぐらい経ったのか。


にしてもデカいな。


身長はあの頃からそんなに伸びていない気がするが、胸だけが異常に成長していた。


いかんいかん、そんな目で見てたら従妹にもひかれてしまう。


「とりあえず中入ってもいいかな?」


「そ、そうだな。こんな所で立ち話もなんだし」


状況が良く分からなかったが、俺はとりあえず従妹の雅を家の中に入れることにする。


「部屋の中すごいね」


「悪いな、来るって知らなかったから掃除できてないんだ」


俺の部屋の中にはごみが散らかっていた。


ペットボトルや丸まったティッシュ、カップ麺やデリバリーで頼んだお弁当の容器。

それらが、散乱している状況だ。


本当は歩きずらいから掃除したいんだが、ここまで散らかってしまうとめんどくさくッてやる気も出ない。


「まあ、この広さなら大丈夫かな」


「大丈夫?何がだ?」


この状況を見て、雅は何を思って大丈夫と言ったのか理解できなかった。


彼女は笑顔で告げる。


「今日からここで住まわせてもらうね」


「は?」


言っている意味が分からなかった。


「むかし約束したでしょ、私が大きくなったら結婚してくれるって。だから、今日からよろしくねお兄ちゃん」


「それっていつの約束だよ」


「私が5歳の頃だよ」


雅はさも当然みたいな顔をしている。


「ふつう子供の頃の結婚しようは子供の戯言であって、本気にする奴なんていないぞ」


雅は子供の頃の結婚するという約束を果たすためにここに来たらしいが、俺は冗談で言っているものだと思っていた。


てか、普通守るやついないだろ。


「だから帰・・・・」


「帰れ」と言え無かった。

なぜなら、彼女の目には大粒の涙が浮かび上がって来ており今にも泣きだしそうになっていたから。


「ひどいよお兄ちゃん。私いままでずっとこの日を楽しみに待ってたのに・・・」


俺は女の子の対処が苦手で、だからこういう時どうすればいいのか分からなかった。


分からなかったから、

「と、とりあえず今日だけなら泊ってもいいぞ」

そう口にしてしまった。


「ほんと?」


大粒の涙を目じりに残したまま、雅は上目でこちらを見る。


「ああ、本当だ」


「ありがとうお兄ちゃん」


雅はさっきまで泣いていたのが噓のように満面の笑みを浮かべる。


「今日からよろしくねお兄ちゃん」


「今日だけな」


「もーーーーー」


ほっぺをフグみたいに膨らませる雅。


こうして、俺と雅は一日だけ一緒に住むことになった。

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