多極化していく未来

https://www.mag2.com/p/money/1220589

以下ドル覇権は崩壊寸前。中ロ主導の「新国際決済通貨」が新興・途上国を巻き込み金融危機を引き起こす より引用

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サンクトペテルブルグ経済フォーラム

2022年6月15日から18日にかけて、恒例のサンクトペテルブルグ経済フォーラムが開催された。主役は例年のようにプーチン大統領だった。プーチンはスピーチの中で、西側先進国に住むいわゆる「黄金十億人」(世界人口の12%にすぎない)の幻想と、「G7諸国の無責任なマクロ経済政策」を批判した。そして、ウクライナ戦争による「対ロシア制裁のEUの損失」が年間4000億ドルを超える可能性があること、また、ヨーロッパのエネルギー価格の高騰は、実は「昨年の第3四半期から」始まっていることで、「再生可能エネルギーを盲信している」ことが原因であると指摘した。


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 その通りで、対ロシア制裁は、自国の経済と国民生活を度外視した政策でしかない。

そのうえ、エネルギーの高騰は、実際には21年の10月頃から始まっている。

 もっと言えばその前からだ、発電効率の悪い幻想の再生可能エネルギーは、エネルギー価格を引き上げている。

 西側の衰退は、西側自身の自滅政策によるものだ。



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第14回BRICSサミット

さらに6月23日には、サマルカンドで第14回BRICSサミットが開催された。この会議ではサンクトペテルブルグ経済フォーラムよりもさらに一歩進み、プーチン大統領は、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国の経済圏が、「新しい国際基軸通貨 」を発行する計画であることを明らかにした。プーチンは、「我々の国の通貨バスケットに基づく国際基軸通貨を創設する件は、現在検討中である。我々は、すべての公正なパートナーとオープンに協力する用意がある」と述べた。さらに、トルコ、エジプト、サウジアラビアがBRICSグループへの加盟を検討していることも明らかにした。


この動きは、これはIMFを使ったアメリカの覇権主義に対処するための動きであり、BRICSが独自の勢力圏とその中での通貨単位を構築することができるようになる一歩である。


一方、中国の習近平主席も、「世界金融システムの支配的地位を利用して世界経済を政治化、道具化、武器化し、やみくもに制裁を加えることは、自らを傷つけるだけでなく他者をも傷つけ、世界中の人々を苦しめるだけだ」と述べた。そして、「強者の立場に執着し、軍事同盟を拡大し、他者を犠牲にして自国の安全を求める者は、安全保障の難局に陥るのみだ」と言いアメリカを強く非難した。


ユーラシア全域を結ぶ経済ルート

このように、サンクトペテルブルグ経済フォーラムとその直後に開催されたBRICS首脳会議では、ウクライナ戦争後の状況を踏まえ、中ロ主導の拡張BRICSを中心とする経済ルートの急ピッチの建設が宣言された。ユーラシア大陸を横断する6つの陸上回廊と、南シナ海、インド洋からヨーロッパに至る海上シルクロードに沿って発展している既存の一帯一路に加えて、次のようなルートが加わわるとしている。


<国際北南輸送回廊(INSTC)>

インド、アフガニスタン、中央アジア、イラン、アゼルバイジャン、ロシアを結び、バルト海のフィンランドに至る全長7,200kmの船舶、鉄道、道路の複合輸送ネットワークであり、典型的な南と南を結ぶ統合プロジェクト。


ロシアのサンクトペテルブルクからアストラハンまで、陸路でコンテナを運び、その後、カスピ海を経由してイランのバンダル・アンゼリ港に入港。そして、陸路でバンダルアッバス港から、インド最大の港であるナヴァシェバまで海外輸送する。運営主体は、ロシアとインドに支社を持つイラン・イスラム共和国船舶会社(IRISLグループ)だ。


<北方海路>

中国の大連を起点にロシアの海岸線に沿ってバレンツ海から北極圏を回り、オランダのロッテルダムに行く航路。中国の海上シルクロードと相互作用し、これを補完する。ロシアと共同で開発が進む。欧米の影響下にあるスエズ運河回りの南航路よりも、日数は10日も短く、またコストも安い。


新しい国際決済通貨の導入

すでに中国の一帯一路に加えて、これだけの規模の経済ルートが加わる。それはユーラシア全域を包括すると同時に、北極を通してユーラシアをヨーロッパに接続する。この経済ルートの運営主体は、中国、ロシア、イラン、インドなどの拡張BRICS諸国の企業群であり、その意味では既存のアメリカ主導の国際ルールに従う必要はない。


そして、欧米主導ではないこうした新しい経済圏で導入が期待されているのが、新国際決済通貨システムである。それは、ユーラシア経済委員会の統合・マクロ経済担当委員で、ロシアの政治家で経済学者のセルゲイ・グラジェフが構想し、いま本格的な導入が検討されている新国際決済通貨である。第697回の記事で説明したが、これはいくつかの評価基準(GDP、領土と人口の大きさ、国際貿易におけるシェア)にしたがって表されるBRICS各国の通貨のバスケットと、さまざまな商品(金などの貴金属、主要工業金属、炭化水素、穀物、砂糖、さらに水などの天然資源)の価格インデックスのバスケットに基づくとされている。


この新決済通貨の狙いは2つある。


ユーラシアで、ドルの覇権に対抗して多極化のシステム(国際通貨バスケット)を復活させること。そして次は、中央銀行と市場を唯一の決定とする現行のシステムに対抗して、より合理的なシステム(実体経済が適切に機能するために必要な物理的商品価値のバスケット)に回帰することだ。


もしこれが、いま急速に台頭しているユーラシア経済圏に導入されるなら、アメリカのワシントンコンセンサスとは異なるルールに基づくグローバルな金融システムが樹立されるだあろう。


もちろんこれは、ドルにはまったく存在しないシステムとなる。しかし、構想としてはそのようなものが存在しても、果たしてこの通貨が実際に導入される可能性はあるのだろうか?


新興国と発展途上国は導入せざるを得ない

実は現状から見ると、脱ドル化であるこの新基軸通貨は、新興国と発展途上国であれば、かならず導入せざるを得ない状況にあるのだ。そしてその導入こそ、2023年から24年頃に必然的に起こる金融危機を準備することになる。


もはや説明するまでもないだろうが、いま世界的にインフレのコントロールができない状態になっている。インフレはアメリカやイギリスでは9%を越え、EU諸国全体では8.9%の上昇だ。どの地域でも約40年ぶりの高水準のインフレだ。特に石油とガスのエネルギー価格の上昇は極端だ。EU諸国では軒並み三倍にもなっている。冬になるとヨーロッパでは、食事の回数を減らすのか、それとも暖房を取るのかの選択にもなると言われている。


このような高インフレの原因ははっきりしている。新型コロナのパンデミックが終わり、急速に需要が回復しつつあるときに、中国のゼロコロナ政策などによってサプライチェーンの寸断が続き、供給がまったく追いついていないことだ。


そして、ちょうどそのタイミングでウクライナ戦争が勃発し、ロシアに対する厳しい経済制裁によって、ロシア産の石油と天然ガス、さらに小麦や飼料を含む幅広い製品の実質的な禁輸が続いたからだ。さらに折からの気候変動による農業生産の低迷もあいまって、エネルギーと食料価格は極端に高騰した。


そして、周知のように、アメリカを始めとした主要国は、高インフレに対処するため、前例のないペースで利上げに踏み切った。新型コロナのパンデミックの痛手からの回復を目的に実施した大規模な金融緩和策からの全面的な方向転換である。


このアメリカやイギリス、そしてEUの利上げは思っても見ない状況を招いている。それは、利上げに消極的な国々との間の金利差による通貨安である。国内の資金は金利の高いアメリカでの運用のために流出するので、ドル買いが盛んになり、自国通貨の価値が大きく下落するのだ。


特にこれは、新興国と発展途上国には大きな痛手となっている。折からのエネルギーと食料の高騰に、さらに自国通貨下落による輸入物価の上昇で、国内のインフレは高騰した。トルコは80%、スリランカは70%、ナイジェリアは17%だ。この高インフレでは国民の生活水準は急低下するので、国民の不満はとても高まる。


しかし問題は、高インフレに苦しむ新興国や発展途上国の政府の多くが、ドル建ての債務を抱えていることである。新興国や発展途上国の場合、信用力のない自国通貨建てで国債を発行できる国は非常に少ない。ほとんど場合、信用力のあるドル建てで国債を発行し、利回りも米国債と同じ水準になっている。こうした状況で、もしインフレ退治のためにアメリカの金利が上昇すると、ドル建ての国債を発行している国々の利払い費も同様に高くなる。ただでさえ高インフレに対処するために財政が逼迫している新興国や発展途上国は、利払い費の増大でさらに苦しくなる。


このような状況に陥ると、これらの国々は、収入と輸出収入の多くを対外債務の返済に充てなければならない。すると、デフォルトする国々も出てくるだろう。そのときは、IMFに支援を求めることができる。しかしこれを行うと、IMFにる極端な緊縮政策の強要で、国内の貴重な天然資源、森林、水源が欧米資本に売却されることなる。この結果、さらに困窮した国々は、さらにドル建て債務に走ることになる。そして、同じ悪循環を繰り返す。


10年前であれば、一度この悪循環に陥ってしまうと、これから抜け出すことは基本的に困難だった。しかし、中ロが主導するユーラシア経済圏の新国際決済通貨が導入されると、この悪循環に対処できる強力な選択肢ができる。それは、脱ドル化の方向である。

―――ここまで――――――――――――――――――――――――――――――――――



 小麦の高騰は、21年から始まっている。

 20年以降は、大量の国債を発行した。有り余った紙幣は、かつてない株高を生み出していた。

 しかしながら、大量の国債の発行はインフレを招くことは、経済の常識である。そして、流通の制限がインフレを招くことは、誰が考えても普通に解ることだ。

 そして、ありもしないことでロシア悪を吹聴し、経済制裁という自滅策を行っている。

 このロシア悪論がインフレに拍車をかける。

 不利益を度外視してインフレを引き起こしている。

 そして、インフレ退治と言いながら利上げを行い経済の破壊を自ら行っている。


 この連鎖が起きることは、IMFも分かっていたはずだ。常識的に考えてそうなるからだ。

 遅すぎる利上げによって、インフレが止まることはほぼ無い。そして、利上げを続けていくことになる。こうなると解っていて何故、利上げを遅らせたのか。

 そもそも、在りもしないパンデミックを理由にガバガバと国債を発行していたのだ。最初から間違っている。間違っていると解っていながら間違ったことを繰り返しているのだ。


 新興国と発展途上国は、高インフレによって、更に上乗せで、ドル建ての債務を大きく抱えることになる。IMFに頼れば、緊縮政策を強要される上に、高い利率に苦しむことになるからだ、そして、多くの資源が土地が買いたたかれ。奪われてしまう。


 IMFはこれを狙っているのか?いや違う。

 新興国と発展途上国は、中露の新しい国際決済通貨の導入する。その方が賢い。

 向かっているのは、多極化のシステム(国際通貨バスケット)だ。

 IMFは、阿保の集まりではないはずだ。この流れは彼ら自身も普通に予測できるはずだ。にもかかわらず、これを加速させている。

 さっさと阿保な対ロ政策は止めるべきで、間違った再生可能エネルギー推進を止めるべきなのだ。


 明らかにわざとやっている。


 この流れを加速させているウクライナ戦争に関して、そもそも、最初に露を攻撃開始したのは、ウクライナ側である。この最初の攻撃は2月21日ごろだったと記憶している。アゾフが暴走して露側に侵入したのだ。そもそも、アゾフがウクライナ内のロシア人虐殺を行っていたのがことの始まりだ。


 このアゾフのバックに居るのは、国際金融資本家だがそれは置いておく。


田中宇の国際ニュース解説からの引用

 https://tanakanews.com/220817ukrain.htm

―――引用―――――――――――――――――――――――――――――――

今回の戦争で、米国もウクライナも上層部がとても腐敗している。米ウクライナの上層部が流す情報の多くも、善悪が歪曲されたウソである。今回の戦争は、米英がウクライナ政府を傀儡化してロシア(国内露系住民)に戦争を仕掛けたものであり、もともと米英が悪く、ロシアは悪くない。ドイツなど米同盟諸国の政府上層部は、これらの腐敗とウソの構図を察知しているはずなのに、見てみぬふりをし、ウソを軽信して「極悪なロシアを勝たせるわけにいかないので、市民は石油ガスの値段が上がっても不平を言わず、生活が貧しくなっても我慢せよ」と言い続けている。今年の冬にかけて、ロシアから欧州に送られる石油ガスが減り続け、エネルギーや食糧の価格が高騰し、欧米や途上諸国などの人々の暮らしが悪化していく。

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 西側は間違った情報を流布しながら、間違った政策を行いっている。そもそも、このような動きは必要が無い。自滅するだけからだ。

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