十月の彼

  十月の彼


 事に至る経緯を如何説明したものか、人並みに及ばぬ迄も恥の概念は有る。R指定ってどの程度の表現からなんだべか。



 人の身体に纏わる彼や是やに高い好奇心を抱いて居た、早い話耳年増だったのだ。後の顛末を思うに、彼の事が無くとも誤るべくして道を誤ったのかも知れない。


 幸いに彼もその手の話には乗りの良い口だった。男同士の雑談として此程外れを引かぬ物も無い。何時しか話す話題に下世話な其れが混じる様になり、図らずも親交は深まった。ただ自辱の経験は無いとの事で、其処から何をどうしたか手解きをしてやる事になる。他人の手で慣らされてしまった事が

、関係の発展に繋がる起こりとなった。


 「ただ自分で触れるよりも良いからと言う理由だけで行為を容認するものだろうか」、そんな疑問は今もって尽きない。彼の性格に女性的な物は感じなかった、生粋の男色でない事も先の会話内容から自明である。そんな彼が容姿に男性的要素しか持たない私に生理的嫌悪を覚えなかった理由は終ぞ、聞き出す機会を得なかった。分泌物の異常がどの程度心的な影響を及ぼすか迄は調べていない、前章の様な中断は繰り返すに忍びない。


 攻守は時折に入れ換えた事を考えると、男性的欲求は相応に持っていたのかも知れない。確信は持てない、自前の物ではなく張型を使うのが彼の好みの責めだったから。生身を受け入れた初めてが彼でなかった事は、生涯に悔い続けると思う。


 余談だが、義母から「あんたの所以で悪化したに決まってるわ」と罵られた事が有る。上記の経緯から「尿道感染に繋がる様な行為は持って居ない」と言う反論に思い至ったのは最近の事だ。

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