切ないだけじゃない

 単に娯楽的な切なさを提供するだけでなく、そのような感情と共に示される著者の主張も含めて、読む人の胸を打つ作品だと思いました。
 『美しさ』とは主観的で確固たる拠り所に乏しく、時間の流れや人それぞれの視点によって変わるものです。本作はそんな『美しさ』と真剣に関わって、疲れてしまったり、うんざりしてしまった人に救いとなる視座を与えてくれるものと思います。