第2章 パパ活オンナの腐れゴミ履歴書

エピソード9:そう、そのとおり。お察しのとおり、ヤンキーだったよ。

私は埼玉県の都市部のあるまちで生まれ育った。

地方出身者をバカにする嫌な人間たちの如何いかがわしい街だった。

東京人より東京のことに詳しい東京コンプレックスの塊のような人間が密集する街だった。

その街のショッピングモールで、私の父は、陶器店を営業していた。「〇〇陶苑とうえん」。売り上げは好調だった。半分以上は父の顔で売れていた。地域住民の主婦連中が父目当てに集まっていた。

父はハンサムで、前述の通り、私の顔まんまで、私の美貌は完全に父のDNAを受け継いでいた。

複雑だった。私は女たらしの父が大嫌いで、物心ついた時からすでに反抗的で、小学6年の終わり、母が膵臓がんで急死したとき、その怒りは爆発する。

葬式で父は一応泣いていたが、四十九日がすぎるとすぐに女を作った。

これを許せなかった私は、中学に上がるとすぐ、逃げるように攻めるようにグレた。

学校もろくに行かず、昼日中ひるひなかから渋谷でヤンキーグループとたむろしてフラフラしていた。何度補導されたか分からない。

なので必然的に高校は定時制に行くことになり、それで働きもしないから更に荒れて、最終的に地元の暴走族に入って男をとっかえひっかえしてはセックスにあけくれた。

実は、私は掛け値なしの美人だが、唯一弱点があり、それは目つきが悪いこと。

黒目が少し上に向き、やや三白眼さんぱくがん的になっている。ヤンキーをやると全員必ずこの目つきになる。

全盛期のころよりかは少しは治まったが、今でも若干黒目くろめは座っている。

だから、パパ活相手の男にたまに「アンタ、昔、不良だっただろう?」とツッコまれることがある。

ドキッとするが、この目はごまかせないので「やだーッ、なんで分かったんですか」などと笑ってごまかす。

パパ活女子の過去なんてどうせロクでもないので、相手はそれ以上詮索しない。それよりも、今、この美貌を堪能したいという欲望の方が圧倒的に強い。今日、大人出来るかどうかの方が、あちらさんにとっては重要なようだ。まあ、そりゃそうだな。

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