第10話 リザレンスにて part1



 これはリザレンスでの1週間のお話です。正確に言えば4日間のうちの一日のお話ですね。


 テツさんの葬儀を行うための準備を進めておりました。(第四話参照にしてくださいね。)


 すべての仕事を終わらせるのに3日かかりましたが1週間猶予があるのでかなり早く終わりましたね。あと4日は観光でもしましょうかね。今はお昼過ぎだいたい1時半くらいです。男爵家の家族であるセイラさん(お嬢様)もレイさん(奥様)も楽しそうですし、また一人で、、、。






「あら、どこか行くの?」


 げ、気づかれました。しかもレイさんに。初日の対応から苦手意識が出てきてしまったのかもしれません。悪い人ではなのは知っていますが。






「はい。観光にでも行こうかなと思いまして。」






「ならちょうどいいわ。今日仕事があってセイラが暇してると思うのよね。一緒に出かけてあげてくれないかしら。セイラはこの国詳しいわよ。」






「わかりました。誘ってみます。」


 取り敢えずセイラさんの部屋に向かうとしましょう。










「セイラさん。今日ってお時間ありますか?」






「あ!葬儀屋様。ごめんなさい学校の宿題沢山がありまして。」


 ・・・。レナさんの噓つき。






 でもここで引き下がる私ではありません。


「手伝いましょうか?」


 と言ってみました。わからなければどうしようという気持ちを抑えて。








「いいんですか!ありがとうございます。葬儀屋様!」






「これが問題ですか、、、。」


 意外と難しかったです。もちろん出来ましたが。微分積分って15歳の子がやるの内容でしたっけ?






「終わった!ありがとうございます。葬儀屋様。それで私に用事って何ですか?」






「セイラさんが観光案内してくださるとレイさんが仰っていたので一緒にどうかなと。」






「でももうこんな時間ですよ?」


 腕時計を見ると針は5時を指していました。かなりの時間を宿題にかけてしまいました。


 難しすぎでは?






「・・・。明日にしましょう。」






「そうですね。明日は葬儀屋様のことをエスコートします!楽しみにしておいてください!」


セイラさんが自信満々にそういってくださいます。






「ありがとうございます。楽しみしておきますね。」


 私はそう言い残しその場を後にしました。夕食までの2時間は部屋で過ごしました。


 その夜はなかなか寝付けませんでした。楽しみでしたから。








 目が覚めました。自力で目を覚ましたわけではありませんよ。いつぞやのようにノックの音が聞こえて起きました。ドアを開けるとセイラさんが立っておりました。






「葬儀屋様。行きましょう!」






 私は残念ながら寝ぼけておりました。


「どこにですか?」






「決まっているじゃないですか!観光ですよ!」


 私は目覚まし時計を見ます。針は5時を指しておりました。早すぎません?






「葬儀屋様。早くいきましょう!」


 私よりも楽しみにしているのでは?まあ突き合わせるのは悪いので私からすればうれしいのですが。






「わかりました。ちょっと準備してきます。少し待っていてください。」






「はい。待ってますね!」






 私は急いで準備をしました。いえ着替えただけですが。昨日のうちに準備を終わらせてますからね。どれほど私が楽しみにしていたかこれでわかったでしょう?






「お待たせいたしました。それでは行きましょうか!」






 私たちはジープに乗り込みます。朝かなり早いので辺りには誰もいません。






「最初はどこに行きますか?」






「そうですね。まずは展望台に行きましょう!朝日が綺麗に見えると思いますよ!」






「わかりました。あの城壁の近くの展望台に行けばいいんですよね?」






「はい!安全運転でお願いします!」






「私はいつでも安全運転ですよ?」


 こうして私は展望台に向かいます。人がいないので清々しい気分ですね。あらゆるものが新鮮に見えます。こういう景色を見るのもいいですね。たまには朝早起きてドライブするのもいいですね。








「大きいですね。」






「大きいだけじゃないんですよ。ここから見る景色は国内一です。」






 展望台の階段を上りながらそういった会話をしました。とっても長い階段でした。


 頂上は城壁すらも超える大きさでした。100m程でしょうか?足が痛いです。






「きれいですね。朝日もこの国も。」


 観光名所だけあって国全体が見える上に朝日もこれ以上ない程美しく見えます。






「そうですよね。葬儀屋様その、、、。」






「どうしたんですか?」






「早起きさせてしまってすみません。他人と出かけるのって学校の友達で以外初めてだったので。」






「気にしてませんよ。むしろお礼を言いたいです。こういう機会滅多にないですから。」






「ありがとうございます。」






「もう少し見ていてもいいですか?」






「はい!時間はまだまだあるので。」






 ゆっくりと人々が動き出します。家に電気が付きパッと辺りが明るくなります。


 私はこの国の始まりをじっと見ていました。








 さてまあ景色を堪能していたらお腹がすいてきました。そろそろ行くとしましょうか






「セイラさん、そろそろ行きましょう。」






「はい、次は朝食を食べに行きましょう。」


 私たちは階段をおりました。また疲れた、、、。








 ジープを走らせて次もセイラさんの言われるがまま目的地を目指します。なかなかオシャレな喫茶店でした。






「ここのサンドイッチがすごくおいしいですよ。是非食べて行ってください。」






「それは楽しみですね。」






「あの、葬儀屋様。」






「はい何ですか?」






「葬儀屋様のこと名前で呼んでいいですか?」


 キャー可愛いー感じで私に問いかけてきました。






「はい!大歓迎ですよ!」


 嬉しいですね。友達ができた感じで。


 私達は喫茶店に入ります。


 注文をして待っている間にお話をしました。






「セイラさんとゆっくり話すのは初日ぶりですね。」






「そうですね。初日は大変でしたよね?」






「まあそうですね。でも色々な葬儀を行ってきたのでそこまでではなかったですよ。」






「へえ、色々な葬儀ですか。ラディアさんはなんで葬儀屋になったんですか?」


 お、早速ラディアさんですか。






「色々な理由はありますが一番最初はお母さんの影響ですね。」






「なるほど。ラディアさんのお母さんも葬儀屋だったんですか?」






「そう聞いてますね。実際に行っている姿はみてませんが。」






「葬儀屋ってテストとか難しいんですか?」






「人それぞれですが私的にはそこまでですかね。葬儀屋になりたいんですか?」






「ん~。そうですね。ラディアさんに会ってからそう思っているのでこの場だけの憧がれかもしれません。」








「それでいいと思いますよ。途中でいやになればやめればいいですし。世の中可能性だけなら無限にありますから。取り敢えずやってみて自分の思っていたのと違うならやめればいいんですよ。」


 ちょうど料理が運ばれてきました。






「さて、いただきましょうか!」






「はい!」


 サンドイッチを美味しく頂きました。その後も色々な所に行きました。実に楽しかったです。私も他人とでかけるなんて久しぶりですからね。








「ラディアさん何してるんですか?」






「今日のお礼です。」






「夕食ですか?ラディアさんってなんでもできるんですね、、、。」






「?。もうすぐできるので待っていてください。」


少し残念そうにセイラさんは調理室から出ていってしまいました。




「あら、あなたが作ったのかしら?」


レナさんが代わるように入ってきます。






「ええ。今日のお礼です。」






「はあ。私は昨日出かけて欲しいっていったのに。」






「あ、、、。」


 そういえばそうでした。またお怒りですかね?






「まあいいわ。なに作ってるかわからないけど楽しみにしてるわ。」








 スパゲッティを作ってみました。玉ねぎとひき肉のいい香りがします。ナポリタンモドキですね。昔はよく作ってましたが。






「どうですか?」






「おいしいですよ。」


とセイラさん。






「初めて食べるスパゲッティだけどおいしいわね。」


 とレナさん良かったです。まあまあ好評で。






 夕食を食べ終わり部屋に戻ります。お風呂に入り髪の毛を乾かして歯磨きをし終わっり寝る準備万端で洗面所を出たのですがそこのはセイラさんがいました。






「ラディアさん。夜はこれからですよ!」






「あのー。今日は疲れたので寝たいのですが。」






「夜にトークするのも友達の楽しみじゃないですか。」


そうなんですか?友達のいない私にはよくわからない価値観ですね。






「え?いきなりですね。」






「え!違うの?」






「すみません。友達という概念がいまいちわかりませんが嬉しいですよ。」






「ありがとうございます。概念なんていらないと思いますよ。」






「まあそうですよね。それで何を話すんですか?」






「まあ、私もしたことないからわかんないんだけどね。」


私はわざとらしい大きな溜息をこぼします。






「・・・。何を話したいですか?」






「ラディアさんの事もっと教えてください。。」






「その前に髪の毛このくしでとかしてもらってもいいですか?」






「わかりました!」


セイラさんは私の髪の毛を丁寧にとかしていきます。結構うまいですね。妹がいたらこんな感じだったのでしょうか?






「お姉ちゃんがいたらこんな感じだったのでしょうか?」






「あははは。私もおんなじこと考えてました。」


だいぶサラサラになってきました。一人の時より断然早いですね。






「それでは私の特技を披露しましょう。」






「なんですか?」






「歌ですよ。」


そう言い私は歌いだします。セイラさんが手拍子を送ってくださいました。






「すっごくうまいですね。驚きました。」


歌い終わると同時に感想が返ってきました。






「そうですか。嬉しいですね。」






「じゃあ私のもの聞いてください。」


そう言いセイラさんも歌いだします。んーーー素晴らしい。






「うまいですね。どこかで習ってたのですか?」






「そんなことないですよ。歌手じゃあるまいし。」






「じゃあ一緒に歌いますか?」






「そうしましょう!」






 私達は自分の知っている曲を教え合い二人で一緒に歌い合いました。夜遅くきれいな音色が飛び交います。これが5日目の夜のことでした。本当に楽しい思い出です。少しでもテツさんお悲しさを紛らわせられたでしょうか。むしろこっちが気を使わせてしまった気がします。


しかしリザレンスの勉強難しすぎ!まあこれも思い出ですね。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る