プロローグ

 王犬を看取った元上席王宮獣医官は王家に対する罪に問われ、老衰による死刑判決を受けた。老衰以外の要因で死ぬ事が許されない日々を過ごすことになる。

 この元上席王宮獣医官は今ではMIP(Most Important Personnel)と呼ばれ、この者を老衰で死ぬまで守りきることは王国の最重要事項となった。病気や怪我、悪意や害意はもちろんのこと、不可抗力にも抗うことを可能とせしむるほどの補正予算案が国会に提出され、全会一致で即日可決された。

 死刑判決を受けた翌日、王宮の来賓室でSPに囲まれながら目を覚ましたMIPの元に総務部要人課長がやってきた。

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