第18話 怒りのシャラ来臨

シャラらは地獄の門をぶち破ってから死にもの狂いで走った。次々に落伍者が出る中、構っている暇はなかった。

一撃で粉砕してやる。

急がなければ愛しの娘が殺されるのだ。


遠眼鏡で見ると娘が大木に張り付けにされているのが見えた。


「クローディア!」

シャラは悲鳴を上げた。今日まで残してきた娘を忘れたことなど無かった。その可愛い愛しの娘クローディアが張り付けにされているのだ。


神も仏も無いのか。


今ほど世の中の無常を恨んだ事は無かった。


そして次の瞬間には両軍の弓矢によって針鼠のように弓矢が刺さるクローディアが映った。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

シャラはその愛しの娘の姿を見て発狂した。

愛しのクローディアが、クローデイアが殺される。


いつの間にか空を飛んでいたシャラは光の塊となって光速を超えた。




「全軍突撃だ。あの森に隠れているダレル軍を殲滅せよ」

ブラッドフォードは叫んでいた。


あの小賢しいダレル軍など一撃で粉砕してやる。いきり立ったブラッドフォードは突撃を命じた。


木陰に隠れて見ていたバーナードはそれを見てニタリと笑った。


「これでマーマ王国軍も終わりだ。小娘よ。やっと役に立ってくれるな」

バーナードは敵マーマ王国の皇太子の本軍がクローディアに向かって突撃するのを確認する。


あと少しだ。やっとバーナードの研究成果、人間爆弾が力を発揮するのだ。これがうまく行けば何人もの人間爆弾を使ってマーマ王国を攻撃できる。奴隷を使ってこれをやれば金さえ出して奴隷を買えば無尽蔵に人間爆弾を作成できる。ダレル王国軍がマーマ王国を制圧する事も可能だろう。


バーナードの手は起爆装置のボタンに触れた。


将にボタンを押そうとしたその時だ。天から凄まじい大音響とともに光の塊が落ちてきた。


それはクローディアの前の地面に激突する。


大爆発を起こした。爆風で両軍の兵士は弾き飛ばされていた。


凄まじい爆風と爆炎と光が飛び交う。


そのすさまじい爆発の跡には巨大なクレーターが出来ていた。


そして、その中心には凄まじい気を纏ったシャラが愛しの娘クローディアを腕に抱えて立っていた。

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