Bizarr

朔月

第1話

「ここから先は立ち入り禁止だ!」

「刑事課だ。権限がある。」


刑事課 18係巡査部長 白鷺雄

刑事課 18係警部補  丹後水月


先ほどまで威勢の良かった若手警官は警察手帳を見ると

青ざめて道を譲った。

「御無礼をお許し下さい。」

「そんなに仰々しくすんなよ。腫れ物には触るなってか?」

白鷺が睨みを効かすと警官はさらに青ざめた。

「ほら!雄くん!警官さんが萎縮しちゃってるじゃん。下っ端に付き合っている暇はないでしょ?」

「そうだな。」


「はぁ…怖い演技って難しいね…」

「そうか?」

「強面の雄くんにはそんなに難しくないか。」

現場だというのに緊張感のない会話や、時間ぴったりに到着するあたりがマイペースと言わせる要因なのだろう。

「遅いぞ。どこで道草食ってたんだ?」

呆れている神石の顔が見える。

「神石さん…うす…」

「りゅーじさんちわー」

「全く…5分前行動と言っているだろう。社会人何年目だ。しっかりしろ。」

「流爾。ため息つくと幸せが逃げるぞ。」

「こんな世界で幸せも何もないだろうう。」

ははっと笑う立花もどこか疲れ出ているようだった。

「ちょっと、早く仕事してください。」

手袋を脱ぎながらやってきたのは篠岡だ。

「お堅いアッキー!勉強しすぎて表情筋死んじゃってんじゃないの?ここ最近笑えてないよー?」

ケラケラ笑っている丹後に呆れている最年少の篠岡。

「そりゃこんな凄惨な事件が立て続けにあれば笑えなくなるのが普通の人の反応ですよ。」

「アッキー普通じゃないじゃん。」

むくれる丹後に篠岡が蹴りを入れる。

「いでっ」

「で、今回も例の手口っすか?」

「ああ。また顔面が潰れていたよ。血液から特定はできるが…グロテスクすぎるな。」

神石の視線の先には顔面が潰れ全身の骨が折れた女性が倒れていた。正確には女性ではなく“女子高生“だ。

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