第二話の2 風よ!光よ!

「今日は赤メダルと緑メダルを使う」

 火魔法と風魔法か。火おこしには風が必要だからな。風というか酸素だけれど。強化させる効果はあるだろう。

「火に風を送ると大きく燃えますけど、それを魔法でするのですか」

「そうだ、空気には魔力が含まれており魔力を送ることで火が強くなるのだ」


 酸素だよ! すべて魔力で片づけてるのかこの世界は!


「でも火の大きさより強い風だと火が消えますよね。ろうそくとか」

「風の魔力が強くなってしまうとダメなのだ。だから魔力調節が大事なのだよ」


 科学的知識が無かったら納得してしまいそうだな。


「先生、それならば水も風魔法で強くなるのですか?」

「その通りだ、水も遠くへ飛ばしたり細かな粒になったりする。雨もそうだろう」


 ダメだこりゃ。もうちょっとつっこんでみるか。


「光はどうなのでしょう、風を送ると明るくなるわけではないでしょう?」

「お陽さまを考えなさい。多くの空気の中にある昼は明るく、夜明けや夕暮れは大きいわりに暗いだろう」


 ねえ、天動説なの? こっちにはコペルニクスはいないの?


「先生、太陽は地面に沈むわけではないんじゃないでしょう?」

 先生は目を見開いて驚いた。

「ホリィ、大したもんだ。本が好きだというが、よく勉強しているね。そのとおり、平らに見えるがこの地面は実はとても大きな丸い球のかたまりで大きすぎて平らに勘違いしてしまうのだよ」


 よかった。地球は丸かった。でも油断できないぞ、地球中心の天動説かもしれないな。

「その遠くをお日様やお月様が回っているのですか」

「ホリィ、君が馬車に乗って山に向かっている時、君は座っているだけで山が近づいてくるように見えるけど、それは君が座っている馬車が山に近づいていることだということはわかるだろう?それと同じことなのだよ。信じられないだろうが、この大きすぎて平らにしか見えない地面のかたまりのボールが実は動いているのだよ」


 驚いた!そこまでわかっているのになぜ!

「うん、驚くのも無理はない」

 そこじゃないけれど。


「お日様……太陽というのだが、それは魔力のかたまりで、魔力をあふれさせている。それがこの地面のかたまり……地面の玉という意味で地球というのだが、そこに届いているのだ」


 なるほど、エネルギーと認識されてはいるけれど、こちらの宇宙のことわりではそれは魔力なのだな。それに関与できてしまうがゆえに科学が魔学みたいな形であるのだろう。ただあまり解明されてはいないみたいだな。

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