第1話の6 育成意欲/カーマ先生

 私はカーマ・ヒダーツ。

 アベアーラ伯爵家騎士団の魔導士長だ。

 伯爵ご長男のホレイショ様の魔術家庭教師をしているが、ホレイショ様には驚かされるばかりだ。

 魔法発動はまず体に覚えさせるために魔石メダルでの発動を体感させることが早道だ。アッサリと詠唱なしの魔力発動を出来てしまったかと思えば、魔石なしでの発動を就寝時にしてしまっていたとは。つまり意識して魔石なしで魔法発動を実践してしまったということだ、五歳にして。

 水魔法ではシャワー状やミストスプレー状もこなしてしまった。水魔法以外は自力発動はできなかったものの、発動効果を工夫していた。いや、初級の威力ながら工夫を発想して実現できていたことが恐ろしくもある。火魔法であれば細く高温で打ち出したのをペンのように動かし草を焦がして落書きをしてしまうなど、正直驚かされた。

 五枚の魔石メダルでの初級操作を半年で行ってしまうとは。

 大抵の五歳児は水魔法での水鉄砲遊びでひと夏過ごして、遊びながら制御を覚えて火魔法に行くのだが、そこが十日くらいだったのだから、本人のやる気と探求心が凄い。

 今では水玉ではなく泡のような中空の水玉を多数出して「シャボン・スプレー!」と言いながら打ち出して遊んでいる。大泡の生成は水魔法では高等技術なのだが。

 魔術学校に進学した時には教授がとても喜ぶだろうな。ただ喜ばせるのはつまらないから、顎が外れるくらい驚かせるように私が鍛えてやりたい。

 そうしよう。

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