第14話 N簡易裁判所公判3 目撃者尋問②

 I検察官も尋問を続け、

「貴女が原告女性と被告人の様子を見ることになったということですが、その様子をずっと見ていたということですか?」

「はい、そうです」


「何故ずっと見ていようと思ったんでしょうか?」

「普段から原告女性が出勤している時に、気を付けて見ていようとスタッフ内で話していたので、そうしていました」


「それは原告女性を見ていようと思ったんでしょうか?」

「いえ、被告人です」


「それには何か理由があるのですか?」

「原告女性に対しても他のスタッフに対しても以前から嫌がる言動があったので、気を付けて見ておこうと思ってました」


「原告女性が嫌がる言動というのはどういうものでしたか?」

「胸が大きいとか業務と関係ない話をすることもあったので、気を付けていました」


「それは貴女が原告女性から聞いたんですか、直接見たんですか?」

「直接見て、原告女性からも聞きました」


「腹筋台で被告人が原告女性を触っている状況は、貴女はどこから見ていたんでしょうか?」

「受付から見ていました」


「直接見ていたんでしょうか?」

「鏡越しです」


「貴女はこの件を目撃した際の位置関係について、先日事件現場で説明して写真を撮ってもらってますね?」

「はい」


 I検察官は2枚の写真を目撃証言者に示す。


「その写真はこれでよろしいですか?」

「はい」


「写真1の中央に写っているのが貴女ですか?」

「はい」


「貴女が目撃した時の立ち位置はこの写真の位置で間違いないですか?」

「はい」


「さきほどの証言の鏡はこの写真に写っていますか?」

「はい、写っています」


「どれが鏡になるんでしょうか?」

「中央から右側」


「貴女の頭の位置から少し右に鏡がありますが、その鏡越しに見ていたということですか?」

「はい」


「写真2はどの位置から撮影されたものですか?」

「私の視線です」


「貴女の目線から撮影されたということですか?」

「はい」


「実際に貴女が見た当時と比べて、違いはありますか?」

「ありません」


「当時、貴女の目線を遮るような障害物か何かはありませんでしたか?」

「ありません」


「貴女のいた受付カウンターから鏡までの距離はどのくらいですか?」

「12m30cmです」


「計測されたのですか?」

「はい」


「視力はどれくらいですか?」

「当時、コンタクトを付けて、両眼で1.2です」


「鏡越しに原告女性と被告人の様子がしっかり見えたということでよろしいですか?」

「はい」


「この写真だと顔が少し見えにくいんですが、どうなんですか?」

「写真だと見えにくいんですが、実際はもっとはっきり見えます」


「実際はもっとしっかり確認できたということですね?」

「はい」



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