第21話 ウブドツアー②

壮大な経験のあと、いざ立ち去ろうとすると、お布施を払う事に。


正直、「また金か?」と思ってしまった。


その前にも5000ルピー払っている。


これでは足りないのか?とひとりごちていると、トマさんが「地元の人ならそれでいいんだろうけど…」と。


たしかに、そうだなと思った。


私たちは異国の土地から来た異教徒。


そんな人間が自分の一生を捧げてる土地に観光気分でやってきて、あれこれ見て回っているのに、少しのお布施をケチるようでは神様にも笑われる気がした。


自分の食べるものまで削って信仰している人達にとってみれば、私の考えなど甚だ卑しい。


自分の小ささを痛感した瞬間である。


寺院を出たあとは、ライステラスと呼ばれる有名な風景、棚田を眺める。


これぞバリという感じのイメージがある光景だ。

日が沈む夕暮れ時のこの風景は、どことなくホッとする懐かしい気持ちにもなる。


そしてツアーも終盤、最後は夕食を食べにレストランへ向かう。


泊まってる宿のオーナーが経営してるらしく、雰囲気も抜群にいい。

屋外に広がる自然の中、ライトアップされたテーブル。


そして、うまい。インドネシアの料理は総じてうまい。

代表的な食べ物はミゴレンや、ナシゴレン、鳥の揚げたアヤム、やきとり風サテ、豚肉料理のバビグリンなど…めちゃくちゃうまい。


ビールもガンガンあけつつ、トマさんリンさんと楽しく話をしながら、最高の夕食を味わう。


そして、辺りが静まったところで、ケチャダンスが始まった。

ケチャダンスとは上半身裸の男性たちが、何十人もの集まりで、独特の掛け声を発しながら展開するバリ舞踏のひとつ。


ケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャという、言葉で刻まれるリズム。 


ラーマヤーナと呼ばれる、インドの古典叙事詩を基に構成されるストーリーだが、言葉は分からずとも体の動きだけで内容もわかり、見ていて飽きない。


火を囲みながら踊り続ける人々、熱気がこちらまで伝わり、臨場感もすごい。


「ケチャ!ケチャ!」

これしか言ってないが、すっかり引き込まれて見入ってしまった。


バリのこうした伝統芸能は、ガムランや踊り、色々と多彩だが、どれもそれぞれ独自の文化が色濃く反映されてて、観ていてとてもおもしろい。


最後は宿の客人でもある私たちに親切なママさんからのデザートサービス。


めちゃくちゃ可愛いバリのウェイトレスと写真を撮ってもらい、帰路についた。


今日一日、色々楽しめて、学びもあった最高のツアーになった。


終始お世話になったナイスガイのジョニーにお礼を行って宿に戻る。

ゆっくりと気持ちよく眠れそうだ。




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