第6話 建設予定地とお漏らしはテンプレ

 レティシアは建設予定地にユーリと一緒に来ていた。

 何もない、草木が生えているだけの空き地。


 昔建築物が建っていたのかは定かではないが、区画整理のための杭は打たれており囲われていた。


 「店と工房と庭で菜園出来そうな広さはあるかな。」


 レティシアは予定地を見て簡単に見繕っていた。

 実は既に設計図は作成されてある。学園に通っていた時に後学のためにと建築学も少し齧っていた。

 魔力回路は書けないけれど、図面は引けるお嬢様。

 本当に何でこのレティシアの天職が聖女なのか理解出来ない。

 


 「ユーリ、今まで溜めたものがあるじゃない?素材とか押し付けられてさ。」

 「最初は隠れて私の空間収納に保管してたけど、途中からはユーリも自分の空間収納に保管してたじゃない?」


 「あれらを元に色々作って売り物に出来ないかなって考えたんだよね。」


 「売り物もノルマも決めずにのらりくらりと出来たものを売る。」

 「素材はとりあえずは手持ちがあるからマイナスになる事はないだろうし、お金だってもちろんそれなりに溜めてるじゃない?」


 「足りなければ買えばいいですし、冒険者資格はあるから自分で採取にもいけますし。」

 なんともパワフルなお嬢様聖女。

 ユーリはただだまってその計画を聞いていた。


 余生は喫茶店でも経営して、近所のお爺さんお婆さんが暇を潰しに来てくれればいい、そんなまったりした生活がしたいと思うのは悪い事ではない。

 それが自分の作成した道具や武具であってもおかしくはない。



 「ほう、ここが建築現場か……」

 ヘルメットを被り、鶴嘴を担いで現れた筋肉質な男が突然二人の背後に現れた。


 「あ、お師匠様。お久しぶりです。」

 男を見るなりその相手を師匠と呼ぶレティシア。


 「ほう、バカ弟子の依頼だったか。ふんっ」

 威圧を放ってくる師匠と呼ばれた男。


 一方威圧に当てられ腰を抜かして地べたにへたり込むユーリ。


 「あ……」


 「ちょっと、お師匠様。未経験者にその威圧は駄目ですよ。」

 レティシアは男に向かって「メッ」とやる。


 「この筋肉ダ……土木作業員の恰好をした人はで西方無敵様。伝説の土木作業員であり流派セイホウムテキの当主様ですわ。」

 そう言って他己紹介を始めるレティシア。

 ユーリの座り込んだお尻の当たりには水溜まりが……


 「ム……軟弱なのが悪い。」


 「そんなだからぼっちなのですよ。それはさておき、師匠。これが設計図です。」

 レティシアは丸めた紙を数枚、西方無敵なる人物に手渡す。

 ユーリのお漏らしは軽く流された。


 「ほう。お前にしてはだな。」

 西方無敵からすれば修練場とか鍛錬場がないのが気になっているらしい。


 「材料は用意しますので好きに加工してください。」

 二人は木材も石材も宝石や魔石の類も多数が空間収納に保管されている。


 「じゃぁ、一度綺麗に整地したら指定した場所に置いておいてもらおうか。」


 師匠でも作業員なので遠慮なく使う、それがレティシアクオリティだった。



 「それじゃ、お風呂に入りましょうか。」

 レティシアはユーリの手を取って起こしてあげる。

 そして有無を言わさずお尻の下から救い上げるように抱きかかえる。

 お姫様抱っこである。その際腕が少し濡れたのはどちらも言わない。

 



 「おかえりなさいませお嬢様。先程強烈な殺気を感じましたが……」

 屋敷に戻るとメイが出迎えてくれる。先日と違いメイド然としていた。同一人物かと疑うくらいにはしっかりしていた。


 「あぁ、それはお師匠様が私を見るなりいきなり威圧してこられたの。ユーリは初めてだったから当てられちゃって。」


 「あ、それで……お察しします。あれはこの家の方でも堪えますからね。」

 フラベル家の面々は大丈夫であったが、街の中では唐突に襲ってきた殺気に当てられ水溜まりが多数出ていたようである。


 「性格はアレですけど仕事は確かですからね。」

 メイは変な要塞が出来上がらなければいいですけどねと小さな声で続けていた。


 

 「では、ぬぎぬぎしましょうかね。」

 脱衣場に着くと、レティシアはユーリの衣服を脱がし始めた。



―――――――――――――――――――――――――――――


 後書きです。

 さて、どっちが攻めでどっちが受けか……

 答えは時と場合で変わります。かな?


 次は冒険者ギルドにでも行くと思われます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る