二十三話目

 戦争を俺は終わらせるべきだ。壊れた脚では思うように動けないけど剣は握れる。俺はこの戦争を終わりにする。隣で指揮をするアレクサンドルを見る。横目に一度一瞬目が合った。アレクサンドルの口角が上がるのが見えた。

「なんだ?どうかしたのか?」

 視線は前のまま、アレクサンドルはそう言った。俺は真剣に周りがするように跪いて頭を下げた。

「お願いだ。俺に戦争を終わらさせてくれ!」

「クククアディーレのためか?」

 アレクサンドルはそう笑って言った。

「恋とはまさに盲目、だな。」

 そう洒落たことを言いながら銃を撃つ。人が倒れるのを確認すると銃口を下に向け俺を見た。

「どうするつもりだ?」

「そんなの、


 _______外交するに決まってんだろ。


 」

 アレクサンドルは笑った。

「さすが我が優秀の外交官だな。」

 



 すぐにドラジエントのそばに行った。ドラジエントは明るく笑って言った。

「準備は整いました!」

 俺は笑って椅子に腰掛けた。ここにきた理由、戦争をやめさせる、アディーレが倒れたと伝えながら義足にギアを付け足していくドラジエント。手付きがプロで見入ってしまうときもあった。アディーレが倒れたと伝えると顔を真っ青にした。

「あ、アディーレが?」

「そう。だから俺は戦争をやめさせたい。アディーレのために戦争を終わらせるなんて馬鹿な話たがわかってくれ。」

「それ、僕に言うんですか?僕がアディーレを好きだとわかった上で?」

 ドラジエントは呆れたようにそう言った。俺はドラジエントを見た。

「だから、制作を急いでもらいたい!」

「……本当に戦争を終わらせられるんですか?貴方だけで?」

 ドラジエントは冷たく俺を見上げてそう言った。その瞳には不信感がつのっていた。俺はそれでも動ぜず自信に満ちた顔をしてドラジエントに伝えた。

「俺だけじゃなく、俺らだけどな。」

 すると顔をそらされた。何やら俺はあまりドラジエントに好かれていないようだ。

「まぁ…早く終われば早くアディーレに会いに行けるんで頑張りましょう。ですから貴方も頑張って戦争終わらせてくださいね。」

 そっけなくそう言うドラジエントと裏腹に俺は笑っていた。




 さぁ、外交に行こう。 




 これは奇跡としか言いようがなかった。まさか、偵察班と共に行った俺が生きてるなんて。確かに片目は見えなくなり足も腕も負傷した。それでも一歩一歩歩けているし、銃だって持てている。歯を食いしばり悔やむ。自分の失態に。敵兵から奪った情報を知らせたいも情報共有機器は壊れてしまって直せるにしても足手まとい。ただ、我が国を頭の中で思い描くだけ。

 俺はもともとX共和国の偵察部隊で、Y帝国に偵察に行った。偵察は大失敗で終わり帰ったところで俺は銃殺刑なのは目に見えていた。絶望と諦めの境地でしゃがみ込んでいるとき、俺は確かニコライさんに肩を叩かれた。殺す気にもならず朦朧とする視界の中ニコライさんを見た。気がついた時には白いふわふわのベッドの上で、優しい温度に照らされていた。ニコライさんはお母さんみたいに優しく笑って声をかけていた。正直俺には何を言っているのかさっぱりわからなかったが嬉しかったのは覚えてる。その後俺は泣いて軍事学校に通わせてもらった。そこで出会った仲間は面白くいい奴ばかりだった。特に俺と気が合うわけではないスミレちゃんことカトリックは特に一緒にいて楽しかった。一緒に学校だって卒業したし。それでこの軍に入れたときは嬉しかった。久しぶりに見たニコライさんの顔は凛々しくしかし優しくて涙が出た。入学式のあと勇気をもってニコライさんに名前を聞いた。笑って名前を答えてくれたときは本当に嬉しかった。するとスミレちゃんが肩を叩きながらからかってくるから俺は笑っていた。本当に、辛いこともあったけど楽しかった。その後、任務なども頼まれるようになり、また、偵察に行ったとき、本当にかわいい女の子に出会った。天使みたいなかわいい女の子に。小鳥がなくみたいに儚い小さな声で話していてかわいかった。アディーレに、帰るって約束したのになぁ…。涙で視界がくらむ。それを腕でぐしぐしふく。

 アディーレにはよう会いたいわ。


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