第11話

浴室で俺は悶々としていた。

母さんはきっと不思議に思ったろう。

不思議、というか、少なくとも、兄妹がやたらと近距離で顔を寄せ合ったいたことに、

若干の懸念を抱いたのではなかろうか...。


そんな心配を胸に抱き、

俺はシャワーを浴びた。


良かったんだ。


何もしなくて。


妹に手なんか出したら。


キスなんかしてるところ、母さんに見られていたなら、オワコン案件だ。


それから先。


どんな顔して母さんと接すればいいか、分からない。


「こ、これはキスの練習でさ...!」


なんて慌てふためいて言い訳をしたところで。


後の祭だろ。おそらくだけど。


やっちまったその後、見られたあとのことを


考えただけで、俺は落ち着かなかった。


ま、でも。


何もしてないんだから、軽傷だろ。


母さんはただ、単に。


やたらと近いなと思っただけだろ。


俺はポジティブにそう考え。


頭を洗った。










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