第8話

バーガーを食い終わってふと外を見る

雲行きが怪しくなっているのがわかる

やばいこんな悠長にしてる場合じゃない

「あのすみません俺もう帰ります」

「じゃあ僕もそろそろ帰ろっかな」

二人で席を立つ

この咄嗟の判断が間違っていたのだ


「ありがとうございました〜」

カランカラン

店を出た途端雨が降り出した

雨脚はみるみるうちに強くなり

30秒もしないうちにバケツをひっくり返したような土砂降りになった

こんなことならまだ店を出るんじゃなかった

「雨降ってきちゃいましたね〜家どこですか??」

「15分ぐらい歩いたところなんで走って帰ります」

「いやいや無理ですよこんな土砂降りじゃ」

「よくあることなんで大丈夫です」

もちろん嘘だ

こんなことよくあってたまるか

「風邪引いちゃいますって…そうだ!!僕の家来ますか??すぐそこなんです」

「いえ結構です」

今日初めて会ったやつを家に誘うなんて何考えてんだか…

「そんな遠慮しないでくださいほら行きましょう!!」

「うおっ」

いきなり引っ張られて体制が崩れた

そのせいで反論する暇もなかった

どうすれば断れる??

今からでも遅くないだろう

考えろ考えろどうすればいい??

…やっぱりわからない

こういうときどうするべきなのか全くわからない

なんせ俺は…

「着きました!!上がってください」

そんなこんなしているうちに着いてしまったらしい

やつはもう先に上がってしまった

かずきより話を聞かないやつを見たのはこいつが初めてだ

ここまで来たらもう諦めるしかない

適当なところで帰ればいい

「おじゃまします…」

そうして俺はその扉の向こう側へ足を踏み入れた

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