テストで結果を出せばえっちなお願いを聞いてくれるって本当ですか? ~友達のお姉さんと始める赤点回避大作戦~

白玉ぜんざい

プロローグ


 俺、赤城圭一は目の前の光景にごくりと生唾を飲み込む。

 

 アニメやゲーム、つまるところその類のオタクカルチャーにハマった俺はとにかく女子との接点がなかった。


 女の子との会話は必要最低限の業務連絡と挨拶程度。

 別に嫌われているわけではないのだと思うけれど、何を話していいのか分からずに口ごもってしまう俺を見限って話しかけてこなくなった。

 そりゃ喋れもしないオタク野郎と話すよりユーモア溢れるイケメンと話した方が何倍も楽しいだろう。

 自業自得極まりない。


 そんな俺。

 女子との接点が限りなく少ないコミュ障オタク野郎のこの俺の前に、今信じられない光景が広がっている。


「……」


 飲み込んだはずなのに、緊張のあまりすぐに口の中が水分でいっぱいになる。まるで梅干しでも食べているようだ。

 ごくり、と音を立てて生唾をもう一度飲み込んだ。

 その音が、俺の緊張を目の前の相手に伝えてしまっているかもと思うと何だか恥ずかしい。


 格好悪いな、俺。

 まあ、格好良かったことがあったかと問われると回答に困るのだが。


「……っ」


 その時。

 ごくり、と。

 同じような音が鳴る。

 俺じゃない。

 ゆっくりと目の前の相手に視線を移す。


 眉がぴくりと動き、唇はきゅっと結ばれている。顔を上に向けていることでよく見える喉が微かに動く。


 俺の目の前には、一人の女性が座っている。


 目を瞑って、少し顎を上げ。

 ぺたりと座り込み、その太ももの上に両手を置く。

 二本の腕に挟まれ主張されている、たわわに実った大きな胸を彼女は突き出すように胸を張る。


 蒼井春香。

 彼女と俺の関係は、簡単に言うと友達の姉と弟の友達。

 つまり、俺の親友である蒼井夏樹の姉である。


 ならば。

 どうしてその友達のお姉さんが俺の目の前で、こんな格好をしているのかという疑問が浮かぶのは極々自然なことだ。


「……圭一、くん?」


 俺があまりにも動かなかったからか、春香さんは薄めを開けて俺の名前を呼んだ。


「は、はい」


 俺は上ずった返事をしてしまい、右手を前へと動かす。

 それを見て、春香さんはぴくりと肩を揺らしてぎゅっと目を瞑った。


 俺の手は、彼女の突き出された胸元へと伸びる。


「…………ッ」


 俺はこの後、彼女の胸を触る。


 だが、その前に。

 どうして俺がこんな天国のような状況に陥っているのかを改めて思い返そうと思う。


 あれは今から一週間前。

 親友である蒼井夏樹の一言から全てが始まった。


 ―――


 ――――――


 ―――――――――。

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