秘密の告白(中編)
なんだったらイリスが龍種だということより固まっていた二人は、時間は少しかかったが僕が言ったことを理解してきたようで質問をしてきた。
「お兄様は嫌わないで欲しいと言っていましたけど結局、転生者って私と何が違うのですか?」
「ん?そうだね…何も違わないよ。他の人と違うことがあるとしたら別の世界で生きてた記憶があることぐらい?記憶を思い出したのも10歳の誕生日の時だったからね。」
「…?リョウガ、それって10歳になったときから前の人の人格になったりしないの?実は別人になってるとか?」
その言葉にユキが不安そうに僕を見る。
…今日はユキには不安にさせてばかりだな。ダメなお兄ちゃんだな、僕は。
ユキを安心させる意味も込めて頭を撫でてあげながら僕は言葉を続ける。
「安心して、それはないよ。僕は昔から変わらず僕のままだ。ただ記憶を思い出してそんなことがあったんだなぁってなっただけだから。
…まぁ嘘であって欲しいと思うこともあったんだけどね。」
「…よかったです。でも私がお慕いしているのはお兄様ですから。昔だとか今だとかは関係無いですから。」
ユキの方からも僕に寄り添ってくる。
…僕が少し嫌われるかもと思っていたことがバレたのかな?…安心させてくれてるんだな。
「…貴女達ってたまに兄妹とは思えないほど仲がいいわよね…。」
「「そうか(ですか)?」」
「はぁ…まぁいいわ。」
なんでイリスが呆れてるのかはわからん…そう思っているとそのイリスから質問がくる。
「で、なんで私の…というか龍種のことについて知っていたの?」
「あぁ…信じられるかわからないけれどこの世界に転生するときに神様から教えて貰ったんだよ。」
「もしかしてお母さんから!」
え?!お母さん?フーマが?
「お母さんって、名前はフーマ?僕はその女神様に教えて貰ったんだけど…。」
「…違ったわ。お母さんの名前はヤタ。お母さんだけど神様だから、普段は神域にいて会えないんだけどね…。」
イリスが少し悲しそうな顔をする。…そうだよな。家族に会えないのは悲しいだろう。
気がつけば僕はイリスのことも撫でていた。寂しい時って人が恋しくなるし。…僕の体験談だけどね。
イリスの方も嫌がってる様子もなく受け入れているようだ。
「でも大丈夫だよ。お母さんには会えなくても姉妹がいるから。」
「えっそうなの?イリスにも妹いたんだ。」
そういえばこの辺りのことも聞いたこと無かったな。僕のことはほぼ全部話したしイリスのことももっと教えて貰おう。
「そうだよ。そうだね…私の事を知って貰ういい機会だしね。リョウガとユキには知っていて欲しいし…。」
そう言って貰えると嬉しいな。やっぱり。
「私は四人姉妹の中の長女なの。普段は遠い場所にいて会えないんだけどね。でもお母さんと比べると大分会いやすいよ。」
それでも会うのには少し大変そうなんだな。イリスが納得してるならいいけど。
…それよりも龍種ってわかってから気になることがあったんだよな。
「そうなんだ。…少し聞きづらいんだけど気になってたことがあるんだ。イリスってどこに住んでるんだ?龍種ってことはわかったんだけどならバレないような場所にいるんだろ?」
そう。毎回この場所。橋の下にある砂浜で毎日会ってはいるけれど知り合ってからはイリスはいつも先に来ていたんだよ。まさかここで住んでるってことはないだろうな?
そう思って聞いたんだけど心配は無用だったようだ。
「そうだよ。誰にも見つからないように魔法を使ってるからね。今から見せるよ、ここでずっと喋ってるよりも安全だからね。もう魔物が来ないとも限らないし。〈ハウスクリエイト〉」
イリスがそう唱えるとイリスの前だけ空間が歪んだかと思ったら目の前に扉が出現していた。
それよりも今イリスはなんていった?魔法って言わなかったか?僕が探してる物の一つじゃないか!
…後でよければ聞いてみよう。
イリスに続いて中に入るとそこには水色で統一されているがおしゃれな家具が並んでいて女の子らしい部屋が広がっていた。
…前々からちょっと思ってたけどイリスって青いものが好きなかな?ワンピースも水色だし。
「ここで話の続きをしようか。他の人にはまだ聞かれたくないこともあるしね。」
イリスは魔族の子も部屋にいれたようでイリスが使っているであろうベッドに寝かせるとそう言った。
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