夜はお勉強①
結局昼に橋の下にいたのはなんだったんだ…?
あの時は疲れてたから簡単に驚いたけど、冷静になって考えると偶然あのときに湖の方で何かあっただけだよな…魚とか…
見られていたのもよく考えればユキが見てただけだろうしな!
昼の訓練の後いつもより少し早く王城についた僕はいつの間にか王城の書斎にきていた。もう毎日の習慣になっているのだろう。
書斎には貴重な本がたくさんあるにはあるのだが、珍しい物を見たら買って満足してしまうお父様が集めたものなのでどうにも内容は理解してない物が多いらしい。
だけど読ませて貰うとここには僕が冒険者になるために必要な知識になりそうなことがかなり書かれていたこともあって使わせて貰っている。
僕が何か行事のようなものに関わることをお父様は嫌っている用なので自分で買ったものが厄介払いになるのだとしたらちょうどよかったのだろう。
せっかく使えるものがあるんだから使えるうちに使っとかないとね。
それに最近は興味深い本も見つけた。昔の人が書いた本のようなんだがそれは、スキルが使えない人間でも火や水をスキルのように扱いこなして戦う人間のお話。
最初はただの物語のような本だと思って息抜きに読んでいただけなのだが、読み進めるうちに違和感があることに気づいた。
本の中では〈魔法〉と呼ばれていた技で描かれていて戦うお話ばかりだったのだが、自分で魔物に関する勉強をしていくうちに今ではもうこの世界にはいないとされている魔物がお話の中には出てきていて、そんな魔物との戦いにどうやら魔法を使っていたようなのだ。
それに今記憶を完全に思い出した僕にも心辺りというか、確信めいたものがあった。
「魔法って完全に元の世界でもよく聞いた魔法のことだよな…」
僕の転生する前の世界には魔法を使えはしなくても魔法という言葉自体は存在していた。それこそ小説のような本に出てくる人達が使っていたし…。
今いるこっちの世界ではスキルという言葉は存在しているが魔法という言葉は今までこの本の他に聞いたことがない。
だけど火のない所に煙はたたぬって言葉も前はあったし、僕はこの世界でもスキルによく似た魔法という別の強くなれる手段があると思っている。
誰もその存在を知らないし、僕自身も使い方が全くわからないけど知っておいて損はない…と思いたい。
そんなことを考えていると書斎の扉を叩く音がしてきた。
─トントン「お兄様?いらっしゃいますか?」
「ああ、入ってもいいよ。」
「それでは失礼します♪」
別に僕の部屋じゃないから好きに入ればいいと思うのだけどユキはこういう所しっかりしてるな~。
「お兄様、飲み物を持って来ましたわ。」
「いつもありがとうね。」
本当にこんなメイドのようなことをしなくても…
「私がやりたいからやってることなので気にしなくてもいいですよ♪」
「人の心を当たり前のように読むなよ…」
「お兄様は顔に出やすいので♪」
「そうなのか…あんまり表情にはださないようにしてるんだけどな…」
「そんなことよりお兄様!今日も一緒に勉強してもいいでしょうか!」
「あぁいいよ。本当にユキは勉強熱心で偉いな~」
─────ナデナデ─────
本当に偉いと思う。バッカスがあんな感じだしユキにはもっと勉強して貰って常識のある大人になってほしいからな~。
─────ナデナデ─────
「ぁの…お兄様…」
将来は綺麗な子に育つだろうし常識があるとないのとでは全然違ってくるしな。料理の腕も上がって来てるしいいお嫁さんになりそうだ。
─────ナデナデ─────
「ぁうぁう…」
あっやっべ。流石に撫ですぎた。顔も真っ赤だし年も、もう8歳だったしな…もう撫でられる年でもないのか?
「ごめんごめん。流石に撫ですぎだったな。」
「あっいえ!大丈夫です!………もう少し撫でられてても良かったな………。」
「んっ何か言ったか?」
「何もありませんよ!それよりもここの意味が少しわからないので教えて貰ってもいいですか?!」
「おっおう。いいけど…」
なんか急に元気になったな…まぁいいけど。
───────────────────────
勉強もかなり遅くまで二人でやってお互い余り集中が出来なくなった頃。
「今日はここまでにするか…」
「お疲れ様です。もう寝にいきますか?」
「ユキもお疲れ。そうだな…風呂に入ったら寝ることにするよ。」
そういえばユキに聞いときたいことがあったんだったな。お昼のことを聞いとかないと。
「そういえばユキもう驚かすのはやめてくれよ?」
「何のことですか?」
…?隠れて見ていたのを言いたくないのか?
「いや、お昼に僕が訓練してた時隠れて近くにいたんだろ?」
「えっ?」
「えっ?」
「私はお昼お兄様がどこで何をしてるのか、まだ教えて貰ってませんよね?」
どうやら今日はまだ驚かないといけないらしい。
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