第3話

後日 政雄は ハードな建設会社の面接会場に慣れないスーツを着て順番待ちしていた

がっちりとした体格の面接官は政雄の名を呼んで 面接が始まった

殺風景なデスクとパイプ椅子の部屋のなか

まるで ドラマで観た 警察の取り調べ室だ

「君は若いな うむ 体力に自信はあるかね?

うちは高給だが 厳しい 耐えられると思うかね?そもそも 志望動機を教えてくれないか」

政雄は細い身体だ 面接官は わざとそこを指摘してくる 「すみません 失礼致します」

政雄は 逃げるように 退室した


それから 半年が過ぎて 相変わらず 麗子は政雄を 待ちわびてアパートに 住んでいた

尽くす古風なタイプの麗子も さすがに

愛している政雄を 忘れる決意を固めて引っ越し準備をしていた

秋の涼しさで 街路樹も色づき始める

「政雄、、、あなたはいったい何処に」

やりきれない想い 年末にさしかかり 人々の

動きもせわしない 政雄の持ち物 洋服

全てが 麗子の心を揺さぶる 涙を滲ませ

荷物をまとめて 引っ越し業者に電話をかけた

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