13 目覚めない朝
日曜日。起きるとママが朝ごはんのウインナー&
「ママだいじょうぶ? 元気になったの?」
「うん、平気だよ」
「良かった。パパは?」
「トラブルが
しかしママは、朝ご飯を食べるとまた
「やだ、どうしちゃったのかしら。昨日あんなに
言いながらまたあくびをして、リビングのカーペットで
「ママ
大きな声で
ママに苦しそうな様子はなくて、安心した顔ですやすや
「どうしよう…! ええと、パパの
ふるえる手でボタンを押したけれど、コール音が
そうだ、今日はさくらと
車が一台も通らないんだ。それに
日曜日の朝なのに、庭の手入れをしたり
「どういうこと!?」
イヤな
「さくらぁ! おねがい、出てきてよぉ!」
しかし何十回押しても返事はなかった。
一人ぼっちで帰る
朝だから店は開いてない。
「お
ガラスをトントンしても、中で何かが動く気配はなかった。
すると、アーチ
「いないのかな…、今日もル・ブランで
「なんの用だ」
いきなり後ろから声がして、ネコみたいにぴょーんと飛び上がりそうになる。
「どっ、どっか行ってきたの?」
「走ってきた」
「こんな朝から? そういえばうちのシナモンちゃんも、
「早朝に走るのはネコの
「あのね、うちのママが
「おれもヘンだと思った。毎朝すれちがうおじさんが今日は走ってなかったし、
「パパとも
「連絡が取れない? 昨日は会社から帰ってこなかったのか?」
「何かトラブルがあったみたいだけど…。
ぶわっと急に不安が大きくなって、
「とりあえず入れ」
カギを開けて、クロツキはカフェに入れてくれた。
お
「みゃあん」
「元気づけてくれるの? ありがとナナちゃん」
ナナちゃんのおなかをなでる。やわらかくてすべすべしたナナちゃんの体をさわっていると、不安でいっぱいだった心が少しなごむ。
クロツキはお湯を
それから
温めた
流れるようなクロツキの動きはまるで音楽を
「分からない事だらけだが、きっと
「ありがとう…」
きっとだいじょうぶ。そうだよね、そう信じよう。
不安と朝の冷たい空気に心まで冷やされていたけれど、クロツキのミルクティーは
「この間自分でもミルクティーを作ってみたけど、
「特別なことをしてないように見せるのは
「あ、そっか…」
だからあんな
ふいに思い出してしまい、急に
するとクロツキは
「本当は400円だが、350円に負けてやる」
「え、お金取るの? わたし
「これは
「ずるいー! 先に言ってくれれば飲まなかったのに!」
「
「もーっ!」
するとナナちゃんが音もなくふわっとカウンターの上に乗ってきた。
「みゃあぁん」
これまで聞いたことないような
クロツキは頭をなでてやると、お
「ナナちゃんて、クロツキの
「え?」
ナナちゃんは「あたしのこと?」という顔でこっちを見たけど、すぐにミルクを飲み始めた。
「だって、前に見た白ネコちゃんはコタツの彼女でしょ?」
「おれは
「え~っ! それじゃ
「人にはそれぞれいろんな
「じゃ、今はお
「ああ」
ネコがネコのトイレ
「うちのシナモンちゃんはブラッシング大好きで、わたしがブラシを持つといつもおなかを見せてくれたんだぁ。クロツキはする方としてもらう方どっちがいい?」
「………おれはしてもらったことはない」
「え…、そうなんだ」
小さな声だったけど、すべてを
わたしとナナちゃんを
「なにすんだよ…オレが朝は弱いの知ってるくせに」
「街がおかしなことになってるんだよ。
「来いってどこにだよ?」
クロツキはわたしを見た。
「
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