第15話 そのために新しく買ったんだもん。

 三月も終わりが近づく。濃厚な出張から帰ってきて、また日常に戻った。とは言え、俺の気持ちの中には大きな進展があった。ナオさんにプロポーズしようと思っている。

 俺がプロポーズに傾いたのは些細なきっかけだった。S市出張3日目の朝、スッピンで、髪もボサボサで、全裸のナオさんが、冗談を言って無邪気に笑い、嬉しそうにしている姿を見て、彼女を幸せにしたいと思ったことだ。俺とナオさんはもう身体だけの関係ではない。無防備な状態で求め合うくらいに信頼しているし、信頼されていると思う。

 他の選択肢を打算的に考えることも虚しくなった。ナオさんをキープしたまま他の女を試すことは出来ないし、浮気や二股はナオさんを一番悲しませる行為だ。それにナオさんと別れてまで付き合いたい、抱きたいと思う女性が具体的にいるわけではない。むしろナオさん以上の女性と巡り合える可能性の方が低い。別れた後に良い女性が見つからず、ナオさんに「やっぱりもう一度付き合いましょう」と元鞘に戻るようお願いしてもきっと聞き入れてもらえないだろう。一度裏切ったら、基本的には元に戻れないのが恋愛の難しい所だ。

 重大な決断は、もっと大きな出来事の時にするのかと思っていたが、何でもない休日の朝の一コマが決め手になった。S市出張の時にも考えていたが、ナオさんは既に覚悟を決めているように思える。もしかしたら俺が気付かなかっただけで、年明けに付き合うことをOKしてくれた時から決心していたのかもしれない。


 結婚やプロポーズをするとなると真剣に考えなければならない。仕事では部下だが、プライベートまで尻に敷かれるつもりはない。年下だからと言って何でも言いなりにはならないし、いくら相手が好きでも自分の自由を担保する必要がある。対等とは言わないまでも毅然とした対応が必要だし、予め色々な準備が必要だ。

 俺はナオさんに言えない、墓場まで持って行くべき秘密はあるが、女性関係の身辺整理は必要ない。まず手始めは、預金の一部をヘソクリとして確保し、隠すことだ。近々にナオさんの身体検査で預金や給料の使い道も話し合うことになるだろう。とりあえず1,000万程度を預金として、残り数百万はヘソクリとして確保することにしよう。上司であるナオさんは俺の給料の額を全て知っているので貯蓄が少ないと思われるかもしれないが、問題はないはずだ。経済的理由で俺を選んでくれたのではない上に、チーフであるナオさんの方が給料も高いし、貯蓄もあるはずだからだ。


 そして、プロポーズプランの検討。ナオさんの誕生日が4月10日だから、この時がタイミングとしては最適だろう。どこか思い出になる場所でしたいが、まずは外でナオさんと二人で会う約束を取り付ける必要がある。俺達は出張以外に外でデートしていないのだ。「誕生日だから一回だけ」とでも言えば乗ってくれるだろうか。

 誕生日が水曜日で平日なのも時間が合わせにくい。基本的には夜になると思うが、夜開いているお店やスポットを考える必要がある。ナオさんと揃って退社や休暇と言うのもナオさんが警戒して嫌がるかもしれないが、素直に「デートがしたい」と相談するしかない。あまり時間は無いがじっくり考える必要がある。


 水曜日、ノー残業デー。特に締め切り間近の案件もなく、二人とも早く退社することができた。俺の方が先に出て普段どおり電車で帰宅する。ナオさんは時間をずらして退社し、一旦自分の家で大きなスーツケースに2~3日分のお泊りの準備してからタクシーで俺の家に来る。

 20時頃にナオさんがスーツケースを引きながら、「ただいま」と言って俺の家に“帰って”きた。家に来る前に買い物もしてきてくれたらしく、フライパンで焼くだけの調理済みの魚やサラダを手早く準備してくれた。ナオさんが俺の家に来るようになった当初は悪戦苦闘していた料理だが、今では慣れたものである。もちろん仕事帰りなので凝った料理はしないし、深夜残業した後は冷凍食品や冷凍庫のあまり物で済ます事もあるが、「女子力低いけど、料理くらい頑張る」と買い物、調理、後片付けまで料理周りを率先してやってくれている。ちなみに、ナオさんの得意料理はカレーだ。惚気るわけではないが、最高に美味しい。


 食後、ナオさんが食器をシンクで洗って片付けた後、「私、今晩新しく買った下着を着けるよ。だから、ユウジ君も急いでお風呂済ませてね。」とナオさんから笑顔で、強烈な破壊力があるお誘いを受けた。ナオさんがシャワーを浴びた後、俺も大急ぎでシャワーを浴びた。

 二人とも髪を乾かし、パジャマ姿でシーリングライトの真下に二人で立っている。

 「ナオさん、パジャマ脱がせますよ。」前開きの上着のボタンを外していく。

 「どうぞ、どうぞ。」ナオさんは自信がありそうだ。

 「おおー、綺麗なデザインの下着ですね。」パジャマを脱がすと、白地に赤やオレンジ、ピンク、黄色の花の刺繍に目を引かれた。大きさが違う暖色系の花柄の刺繍がブラの膨らみの淵やブラ紐に大小重なるように付けられていて、上品で健康的なナオさんらしいデザインだった。

 「そうでしょ。下もお揃いなんだよ。見てみて。」

 「では、下のパジャマも失礼します。」ナオさんの足元に跪き、パンツのベルト代わりの紐を解き、ゆっくりパジャマを下げる。同じく白地に暖色系の花柄の刺繍がほどこされたショーツだ。お腹側の淵に同じように大小の花の刺繍があしらわれている。

 「ナオさん、パジャマを預かりますね。」パジャマの上着から手を抜いてもらい、パジャマのパンツも両足を抜いてもらって、ベッドの上に置いた。

 「どうかな?気に入ってくれた?」

 「すごく綺麗ですよ。」

 「お世辞じゃなくて?」分かっているくせに聞いてくる。

 「お世辞じゃないですって。ほら。」と自分でパジャマとボクサーパンツを勢いよく脱いで、勃起したモノをナオさんに見せる。

 「ははははは、確かに分かりやすい。一人だけ裸なのは恥ずかしいから、ユウジ君も脱いでよ。」

 「近くで見たり、触っても良いですか。」俺はパジャマと下着を脱いで全裸になりながらナオさんに聞いた。

 「うん。そのために新しく買ったんだもん。」ナオさんは「へへへ」と笑った。

 「あれ、よく見たら谷間ができてるし、胸が高くなってる。」ナオさんは普段ブラを着けても深い谷間は出来ない。

 「どうだ。すごいだろう。これはね、ランジェリーフィッティングってサービスで、体を3D計測したり、専門のアドバイザーさんと一緒に下着を選んでもらったりするやつで買ったんだよ。」

 「へー、男では考えられないサービスですね。」ナオさんのブラに触れてみる。優しい肌触りで、刺繍も繊細だ。指で谷間を軽く押してみるとナオさんの胸の弾力でポンと押し返される。左手でナオさんの背中を抱き右手でカップに沿って手を添えて揉んでみると、やはり普段よりも強い弾力を感じた。

 「エッチ。」ナオさんに上目遣いで笑われた。

 「背中も見たい。」俺が言うとナオさんがコクリと頷く。ブラの方は両方の肩紐の付け根に小さい花の装飾が、ショーツの背中側の中央には小さな花が2つリボンのように装飾されていた。

 「ナオさん。できるだけ下着を汚さなように気を付けるから、身体にキスしても良いですか。」ナオさんは前を向いたまま「いいよ」と応えてくれて、髪を束ねてヘアゴムで纏めてくれた。ナオさんの背中に顔を近づけるとボディーソープの匂いと薄っすら体臭を感じる。ナオさんの肩に手を乗せ、ショーツの花の装飾辺りに軽くキスをしてから、背骨に沿って下から上にゆっくりと舐め上げる。途中にブラのホック部分があるが、そこは飛ばして、肩甲骨の間からうなじまで舌を這わせた。サロンで脱毛しているのか、ナオさんの背中は手が届きにくい所も綺麗に処理されていた。

 「いやん。もー、それキスじゃないじゃん。」ナオさんは不平を言うが、俺は構わず左右の肩甲骨のでっぱりに沿って舌を這わせる。ナオさんはバック厳禁なので普段は背中に愛撫する機会が少ない。ナオさんの背中にキスや舌を這わせるのは久しぶりだ。もう一度背骨に沿って舐めた後、うなじの髪の毛の生え際でナオさんの香りを大きく吸い込み、うなじから左の耳裏、そのまま首筋へ舐めた。ナオさんは「はぁ」と目を伏せ、顎を上に上げた。

 ナオさんの正面に戻る。「不意打ちはズルいぞ」とナオさんは頬を膨らませ一瞬怒ったような顔をしていたが、軽く抱きしめ口づけをすると「ぷふふ」と噴き出して笑い出した。ナオさんの谷間にもキスをする。右手で背中を抱き、啄ばむようにチュッチュッと左右の胸の弾力を楽しみならキスをし、左手はショーツのお尻のスベスベした感触を楽しんだ。

 ナオさんを抱く手を左に変えて、右手をブラの淵をなぞる様に這わせる。ナオさんに「両手を少し上に上げて」と言うと素直に上げてくれた。カップからサイドの生地、背中のホックまでゆっくり4本指を進めた後、二人笑顔で見つめ合ったままブラのホックを外し、ブラを脱がせた。ナオさんの胸から谷間が消えた。

 「おおー、キュっと寄せてたのに、肌にブラの跡が残ったりしないんですね。」

 「そうなの、しっかりフィットしてるのに全然きつくないんだよ。」

 「パッドでインチキもしていない?ははは。」とからかってみる。

 「そんなことしないし。ちゃんと計測でもCあったもん。」ナオさんに軽く肩を叩かれた。


 左手にブラを持ったまま右手をナオさんの太ももの間に這わせ、ショーツのクロッチの部分を中指で優しく撫でる。股を閉じていた温もりと微かな湿度を指先に感じる。

 「ユウジ君、ショーツも脱がせて。もうヤバいよ。」俺は再度跪いて、ショーツの両サイドに薬指と人差し指を入れて、ゆっくり下へずらす。

 「ナオさん、こっちは本当にごめんなさい。濡れてたのにショーツを指で触っちゃった。」

 「あーあ、やっぱり。早めに言えばよかった。」

 「新品なのにスイマセン。」ショーツを足首まで下して、両足を抜いてもらった。

 「いいのよ。ユウジ君にいっぱい楽しんでもらえたし、ショーツは手洗いすれば大丈夫だから。」

 「ブラと一緒にベッドの上に置いておきますね。」

 「ありがとう。」

 「ずっと立ちっぱなしで疲れたんじゃないですか?ベッドに座ってくださいよ。水を持ってきますね。」

 「気が利くねー。サンキュ。」ナオさんは水を飲みながら時計を確かめ「すご、ユウジ君チンチンをプラプラ揺らしながら30分以上私の下着で遊んでたんだよ」と驚いていた。

 

 俺もナオさんの後に水分補給をして、ベッドサイドの小物入れからゴムを取り出し、ベッドの端に座っているナオさんを軽く押し倒す。

 「まさか下着のお披露目だけで終わりなんて言わないですよね。」

 「まさか。ここからはユウジ君が私を楽しませてくれるんでしょ。」ナオさんも「ふふふ」とニヤつく。

 「ははは、俺頑張らなきゃ。どんな感じがいい?リクエストある?」ナオさんに覆いかぶさりの耳元で囁いてみる。

 「実を言うとさ、生理前でムラムラしてるの。思いっきり男を感じたい気分。」

 「そんなこと言って大丈夫ですか?俺は優しいだけの男じゃないですよ。」

ナオさんが何か言おうとしていたが、口に舌をねじ込んだ。「うっ」と少しビックリしたようだったが、ナオさんの舌を絡めて味わった後、上下の唇の内側も外側も舌でなぞった。その間、両手で美乳の乳首を刺激することも忘れない。人差し指と中指で乳首を挟み、親指の腹で乳首の先端をこねくり回す。ナオさんは少しずつ呼吸が荒くなり「はぁはぁ」と呼吸が漏れる。

 ディープキスを止めて体を起こし、両手でナオさんの左右の膝裏を鷲掴みにしガバっとナオさんの股を広げ、顔を突っ込んだ。真っ先にクリを上下に細かくチロチロ舐めて、痛くなさそうなのを確認した後、割れ目を両親指で左右に広げ、穴に舌先をねじ込み、小さく出し入れをしてやった。ナオさんは脚を閉じようと力を入れたが、俺の腕力の方が強かったようだ。抵抗も虚しく股のヌメリを俺の舌でかき回される音を聞き続けるしかなかった。

 しばらくクリと穴へのクンニを続けていると、ナオさんはイってしまったのか急に脱力した。体温が上がり毛穴も広がったのか、肌が汗ばみ体臭も少し強くなった。無言で目を伏せ、力が抜けて寝転んでいるナオさんを見下ろしながら、用意しておいたゴムを装着する。もう一度左右のナオさんの膝裏を持ち上げ俺の太ももの上に乗せ、ナオさんのアソコにモノを入れる。「ん」と小さい声は聞こえたが、摩擦抵抗は無く、奥まで一気に入った。ここからナオさんの左右の足首をそれぞれ掴み、俺の両肩に乗せ、覆いかぶさるように前屈みになる。ナオさんの腰は少しベッドから浮いているが、腰や太ももの辺りを抱えるように持ち体勢を安定させた。ナオさんは体勢がきつくて苦しいかもしれないから短期決戦だ。いつもより奥まで突き刺すように入れるが、激しすぎないように一定のリズムで出し入れをする。ナオさんは「はぁぁーーーーーぁ」と歌うように高音の長い声を出し、自分で腰をさらに浮かせ足のつま先をピンと伸ばしている。透きとおるような声、透明感がある声、ずっとナオさんの啼き声を聞いていたかったが、ナオさんは「ごめんなさい。ごめんなさい。」と意味不明なことを言いキューっと股間が締まった後、フッと力抜け小刻みに痙攣した。ナオさんの痙攣がしばらく続いている間、今回もナオさんをイカせた満足感、征服感を感じながら、俺も我慢していた絶頂をナオさんの中で出し切った。


 俺が身体を離してゴムを外して処分している間も、ナオさんは身体が弛緩したまま無言で寝ている。だらしなく股を広げたままだ。ナオさんのアソコには泡だった白濁の液体が少し付いていて、ほんのり生臭い匂いがしている。

 まだお互いに無言だ。ナオさんの隣に俺も横になり、肩に手を回すと、ナオさんも軽く抱きついてきた。まだ少し呼吸が乱れている。

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