第9話 神の依頼 中編

 ~前回のあらすじ~

 自分の不始末を部下に丸投げした卑弥呼のせいでイザナギに拉致された可哀想な俺は、イザナギの娘であるアマテラスを部屋から引っ張り出すことになった。卑弥呼のやろー覚えてろ。


「あー神に売られてしまった可哀想なドナドナ。この世に愛はないのか」


「この世というよりあの世だがな。それに愛なんてあっても腹は満たされんよ。何それ美味しいの? って感じだな」


「日本の神のトップがそれ言うかね。関係者が聞いたら卒倒するだろ。殺到するぞクレームが」


「いいのいいの。クレームは部下に丸投げする」


「さいですか。それよりアマテラスがゲーマーだとはな。こっちに来てから神の庶民的感覚に戸惑わされっぱなしだよ。引きこもりが原因で現世に影響がでるなんて迷惑な話だな」


「昔からそうなんだ。しかもここ数年はプロゲーマーになると息巻いて、さらに引きこもりに拍車がかかる始末で、私ももう諦めてるのだよ。あれだ、あれ、喪女って奴だ。神喪女だ」


「そう聞くとスーパーサイヤ人みたい響きだけど、単なる生きおくれの独身女ってだけだからな。神とつければ上位互換になるわけではない。ちなみにゲームの腕前はどの程度のレベルなんだ?」


「よくわからんが、現世の大会にお忍びで参加したときに優勝したみたいだぞ。凄いのか?」


「マジか。そりゃ凄いだろ。えーっと、えいっ」


「おい、なんだそれ」


「スマホを具現化しただけだよ」


容量メモリの無駄遣いだろ」


「どれどれ、アマテラスが出場した大会は……って世界大会じゃねえか! まさに神レベルですね! ってか」


「あ、その準優勝したやつはヘラクレスだぞ」


「ギリシャ神話の英雄までもゲームを嗜んでるのかよ。プレイスタイルが想像できるわ」


「何やらハメ技とやらを多用するらしい」


「ヘラクレスしょぼい。英雄なら正々堂々勝負してほしい。イメージが崩れる」


「まぁ……なかなか凄いようだが、どんなに願ったところで人の身ではないからな。プロゲーマーとしてやってくことなど叶わぬ夢なのだよ。娘には娘の責務がある」


「神様ってもっと適当なもんだと思ってたが、まぁ実際適当だけど、人と一緒で自由じゃないんだな。人は神の掌で踊らされるが、神は誰の掌で踊らせてるのやら」


「神は人に踊らされるんだよ。信仰が途絶えれば、それは人でいう死に繋がるからな。光属性と闇属性の関係性みたいなもんだな」


「実はイザナギってゲーム脳だろ。アマテラスもお前の影響受けたんだな」


「そんなことはない。一緒に桃鉄やってたくらいだ。キングボンビーになったときは焦ったな」


「バブル崩壊したのってお前のせいなんじゃないか?」

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