第3話 林檎と異国の二人組

「ふう」 本を読み終えて 一息をつく

「恋物語の本は素敵」

あたしのような者には、こんな素敵なお話は縁のない事ですけど・・ふふ


「・・異国のシンデレラみたいに魔法使いが現れて、ガラスの靴やかぼちゃの馬車に

素晴らしいドレスを頂けたらいいのですけど なんて うふふ」


3等車の少女は 孤児院を出るときに頂いた 布の包みから

取り出して、おにぎりを一口食べる 他にも林檎もある

そっとため息をつく


「お店(おたな)のご主人って どんな方かしら? まだお若くて


なんでも、大学に今 通っておられるとか・・

その世話とお店や家事が仕事なのですけど・・あ!」

林檎はコロコロと転がってゆく



「だめええ 待って 行かないで」少女


必死で林檎を追いかける



車内に混じって 異国の二人組

一人はどうやらお付きの者である「なぜ、今回は三等車なのですか?」 



「なぜって?日本の人々の観察だよ 

貿易商など我ら商人は 人々のニーズに答えねばならん!」


「素直に チケットの手配を間違えたと・・

だからあれほど、僕が手配すると言いましたのに」華奢で綺麗な面立ちの二十歳前の人物


「・・・毎度ですが」



「え~あ、うほん!」

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