力を得ました!可愛くなりました!

鉄血宰相

(やばい! なんか殺されそうになってませんか?!)

「ちょっと!私何もしてないですよね!?」

「何もしてないならこのまま大人しく捕まっていなさい。」

クスコをピアッツィが冷たくあしらう。


「首長様。いきなり捕縛というのはさすがに...。」

「いいかミネルバ。最初から歓迎ムードなんかで接したら舐められてしまうだろ。こういうのはな最初が肝心なのだよ。」

ピアッツィがミネルバにそっと耳打ちをする。


親衛部隊の兵士たちが階段を登りきろうかという時だった。

「ちょっ 来ないでください!」

クスコが叫んだとき、彼女は右手が突然として熱くなるのを感じた。

そのせつな。ピアッツィの右手に握られていたコルダイテスの杖が彼の手から引き剥がされた。引き剥がされた杖はクスコの右手へと引き寄せられた。


「えっ」自分の右手に握られた物を見てクスコは目をパチパチさせて驚いている。


「お、お前! やる気かー!」ピアッツィは驚いて息が詰まったが、クスコに対して怒鳴りつけた。

「いやいやや! 違うんですよぉこれは、ってぁぁぁあああ!!」

クスコが握った杖は彼女が意図しないままに紫に発光し、その光は瞬く間に強さを増し、周囲を紫の光に包み込んだ。兵士たちは突然のことに驚き台座から落ちたり、そうでなくとも後ろへ引き下がっていった。


「ジェラシアン!」

ピアッツィはすぐさま防御魔法を展開しミネルバと自信を結界で防御した。


「勝手に光ってるんです。私知らないです!」

「問答無用!」

結界を解き、ピアッツィがクスコめがけて物凄い初速で走り出す。よろける兵士の腰の短剣を引抜くと自らの正面に構えてクスコめがけて斬りかかった!

「うひゅんぃ」クスコは情けない声を出しながら驚いて後ろに倒れ込む。


だがよろけた彼女を誰かが後ろから左腕で抱きかかえた。その刹那にガキーンというけたたましい金属音と共にピアッツィが後ろに跳ね返った。


「誰だ!」ふっとばされたピアッツィが体勢を整えながら問いかけた。

紫の光は収束しあたりは土煙が舞っていたが、それが晴れると、足先まである長いナイトコートに身を包んだ男がいた。背丈は190cmもあろうか。両手に金属製の手甲をつけており、それで短剣の斬撃を跳ね返したようだ。


―――「いきなり切りかかってくる事ないだろぉ。爺さん。」

(イケメンだぁ)クスコは抱きかかえられながら呑気に彼に認めている。


「杖を奪い、魔法を行使した。正当な攻撃である。」

「じゃあ爺さん。いきなり斬りかかって来られたんだ。俺が何しようと

だよなぁ。」

ナイトコートの男は含み笑いを浮かべると魔法で右袖から銃を出現させる。

ドライゼ銃。1866年の普墺戦争で猛威を奮ったプロイセン王国の世界初の実用的ボルトアクションライフルである。


「魔銃か。異世界人らしい武器であるな。だがこの距離で約に立つかな。」

「いっちょ試してみるか。爺さん。」


ナイトコートの男がドライゼ銃をピアッツィに向けると引き金を引いた!

「シュっ デュガン!!」

火薬の焼ける音と共に鉄の薬莢と鉛の弾丸がピアッツィに向けて放たれる。


「ルテシアン!」

ピアッツィは男が銃を放つのと同時に高速防御魔法を展開し弾丸を弾き飛ばした!


「やるな爺さん!」

男は片手で銃を投げ浮かし、ボルト(古いタイプの銃の弾丸を装填する機構)を開き、新たな紙に包まれた弾丸をものの数秒ほどで装填してしまった。

再び構えなおすが、短剣を持ったピアッツィが目と鼻の先に迫る!


筒先と剣先が交わるその瞬間!

「やめろバカども! カンパニアン!」

ミネルバが二人の間に割り込み腰の剣を抜くと地面に突き刺した!

すると強い衝撃波があたりに広がりピアッツィとクスコを抱えた男をふっとばした。


「ボケ老人様!違う違う、首長様! いい加減にしてください!死人が出ますよ!」

「そしてそこのデカブツ! 女の子抱えて何暴れまわってるんですか!」

見ると男に抱きかかえられたクスコはドライゼ銃の轟音と緊張で白目を向いて気絶していた。


「いやぁすまんかった。頭が冷えた。それよりミネルバ、ボケ老z.」

「はいはい!! わかったら大丈夫です。休んでていいですよ首長様! 

ああっ。それより異世界人のあなた方、いったい何者なんです?」

ミネルバがピアッツィの話を遮り話題をそらす。



「そういえば自己紹介がまだだったな。私はラウエンブルク公爵。いや......

この名前のほうがいいだろう。俺は


オットー・エドゥアルト・レオポルト・フォン・ビスマルク=シェーンハウゼン


元プロイセン王国及びドイツ帝国首相ビスマルクとは俺のことだ。」

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