熟女に勝るモノはない!──色んな熟女とあまあまライフっ!♡

まちだ きい(旧神邪エリス)

第1話:ボクは平凡な高校生(熟女ハーレム?!)

 ボク、三島惟幾みしまこれちかは冴えない高校二年生だ。

 同世代には好かれない。ボクみたいなモヤシ体型の華奢男きゃしゃおとこには興味がないのだろう。


「いたたっ……コレは保健室行かなきゃだなぁ」


 体育の時間に膝小僧を擦りむいてしまった。大した怪我ではないが、一応保健室に行って絆創膏を貰おうと思う。


 ……でも、あそこはちょっぴり苦手なんだよな。別に不良のたまり場になっている訳でもないのだけど、いや、何と言うか……。


「す、すみませーん。二年三組の三島ですが……」


 保健室のドアを開ける。

 すると中には女性がいた。

 ボクを見ると、ぱぁっと満開の花が開くような笑顔になって。


「あら三島クン♡ 久しぶりじゃない……♡ 今日はどうしたのかしら……♡」


 我が校養護教諭の洋子ようこ先生だ。年齢は40代前半で、容姿は可愛いと言うよりは美人寄り。

 伝統工芸品のように上品な色合いの黒髪ロングに、優しげなタレ目はお上品な雰囲気があり、程よく肉付きがいいナイスバディはついつい見惚れてしまうほど美しい。


「えっと、膝を擦りむいちゃって……」

「あらあら、それは大変ね……ほら、こっちへいらっしゃい♡」

 

 妙に色っぽい口調でそう誘う洋子先生。

 しょうがないので彼女のもとに近付く。

 すると洋子先生は「んー……」と傷口を眺めて、


「取り敢えず消毒しましょうね♡ ほら、ジッとしてて……」

「は、はい」


 薬箱から消毒液を出し。

 ガーゼに湿らせると傷口に当ててくる。

 チクリとした感覚がする。思わずボクは声を上げてしまう。


「いたっ、いたいよぉ……」

「っ、ふふ……痛いね、辛いね、でも我慢だよ……♡ ほら、大丈夫大丈夫……♡」


 洋子先生の甘ったるい声。

 それが鎮痛剤となり、あっという間に消毒が終わる。……すっごくドキドキしちゃったのは内緒の話。

 

 それから絆創膏を貼ってもらって。

 ボクはお礼を述べて帰ろうとする。


「それじゃ、ありがとうございましたっ」


 だけど、洋子先生は簡単には帰らせてくれないようで。


「あら、まだ時間はあるわ……ちょっとお話してかない? 三島クンと私、お話したいの……ダメ、かしら」

「っ、えっと……」


 洋子先生の色気ある声に。

 正直気がどうかなりそうだった。

 ここにいたら危険だ。早く逃げなきゃ!


「ボ、ボク帰りますっ」

「ダーメ♡ 今日は帰してあげない♡」


 洋子先生が僕の手を掴んだ。

 そして自分の身体のほうに引き寄せ。


「ぎゅーーっ♡ っはぁっ♡ 可愛いわぁ……身体ちっちゃい、いい匂い……♡ たまらないわねぇ……♡」

「んーーっ、やめっ、んっ」


 洋子先生がボクを抱きしめてきた。

 たわわなおムネがボクの顔に押し当てられる。柔らかい感触がして、ドキドキしてしまう。……すごくいい匂いだ。


「ご、ごめんなさいっ」

「きゃ」


 何とか洋子先生のハグから逃れ。

 その場を後にするボクだった。


※※※


 体育の後。

 数学の時間になった。

 ボクは数学が嫌いだ。難しいし、全然理解できないから。

 

「三島君。次の公式を解いてみて」

「……えっと、分かりません」

「アナタ、ちゃんと予習復習してるのかしら。こんな問題も解けないなんて、いい大学に行けないわよ」


 数学教師の美玲先生にそう言われ。

 ボクは泣きそうになった。

 そこまで言わなくていいのに!


 何とか授業を終えて。

 やっと昼休みになった。

 昨日から作っておいたお弁当を取りに行こうと席を立とうとする。その時、凍るように冷たい声がする。


「三島君」

「っ、ぁ……美玲、先生」


 美玲先生が席の前に立っていた。

 ボクを見下ろすように立ちはだかる先生。年齢は40代半ば。青髪デコ出しボブに、172センチの長身、それから中華系のキツそうな容姿はとても恐ろしい。


 美玲先生はクスリとも笑わず。

 ボクにこう言う。


「アナタ、最近成績が落ちてるわね」

「す、すみません……」

「このままじゃ、赤点を取ってしまうわ。だから、私が個人授業したげる。……別にアナタを特別視するわけじゃないわ。これは、そう……教師としてのプライドよ」

「プ、プライド……とわ?」


 ギロリと美玲先生はボクを睨み。

 こう言った。


「だって、嫌じゃない。私の授業を受けて赤点取る生徒がいるなんて……」

「そんな理由で」

「何よ、文句あるの。ほら、今から数学教室に行くわよ」

「あの、一応聞くんですけど、他の生徒は」「いる訳ないじゃない。私とアナタ、二人っきりよ」


 嫌だーーーっ!

 でも美玲先生が怖すぎて。

 ボクは文句が言えないのだった。


 美玲先生と二人っきりで数学教室に行く。

 狭くて薄暗くて、廊下には他の生徒の姿はない。だから多少何か起こっても、誰にも発見されないだろう。


「また計算間違えてる。アナタ、よく高校受かったわね」

「うぅ、ごめんなさい……」


 美玲先生にたっぷりしごかれ。

 ボクは半泣きになってしまった。

 生徒が泣いているのだ。普通の教師なら謝ったり、優しくなったりする。

 ……だけどこの人は違う。

 そればかりか、さっきまでクスリとも笑わなかったのに恍惚とした笑みを浮かべ、罵倒してくるのだ。


「何、アナタ泣いてるの……?♡ ふふ、そんな顔しないで頂戴。もっとイジメたくなっちゃうじゃないの♡ ほら、また間違えた。何やってんのよ、この馬鹿♡ 阿呆♡ 無能♡」

「うぅ、もう許してぇ……」

「キャハ♡ その顔、さいっっこう……♡ ほら、もっと見せろ♡ 間抜けヅラ見せろって言ってんの♡ おら、顔伏せるな♡ 見せなさい♡ あーあ、こんな顔私以外に見せるんじゃないわよ……」


 散々美玲先生にイジメられるボクだった。


※※※


「ぅ〜っ。辛かったぁ」


 ようやく美玲先生に解放され。

 ふらふらと廊下を歩く。

 理科室前の廊下だ。この辺りは何だか不気味で、オバケのひとつでも出そうだ。


(変なところに来ちゃったな……)


 半泣きになって歩いていたもんで。

 冷静になった今、すごく怖くなってきた。

 こんなところにずっといたら、本当にオバケでも出そうだ。


 帰ろうとしたその時。


「こ れ、ちか く ー ん……」


 不気味な声がした。

 オバケだと思った。

 しかもボクの名前を呼んでくるし。

 なおさら怖い。


 ガシッ、と。

 足を掴まれた。

 思わず悲鳴を上げてしまう。


「ひいっ!!!」

「何だいその女みたいな声は。ふふ、君は可愛なぁ……」

「そ、その声は明穂あきほ先生っ?」


 理科教師の明穂あきほ先生だ。

 ボサッとした茶髪の髪を雑にポニテにまとめ、やる気なさげの声のトーンは何だか可愛らしい。いつも目にはクマが出来ており、服装はいつも白の白衣。年齢は確か30代後半くらいか。


「やぁ少年。元気かね」

「ボ、ボクはまあちょっと元気ないですけど、それより明穂先生大丈夫ですか?!」

「ああ、ちょっと実験に失敗してね。今は体力を使ってしまったのでこうして廊下を這っているというわけだよ」

「なんでそんなことに……」


 明穂先生は不思議な女性だ。

 授業にはいつも遅れてくるし、服装は毎回白衣(しかも毎回汚れている)だし、目にはクマが出来てるし。でも顔は整っており、身体は曲線の少ないスレンダーボディだ。


惟幾これちか君、すまないが私を化学室まで運んでくれないか。体力の限界で動けないのだよ」

「また徹夜したんですか? ダメですよ、大人として見本になるような生活しなきゃ。仮にも先生なんですから」

「はっはっは、すまないね。だが、こればかりかどうしようもないのだよ……」


 はぁ、とボクはため息をつき。

 明穂先生を化学室まで運ぶ。

 女性とはいえ、軽くおんぶ出来るほど軽くはないので引きずるような形だけど。


 何とか化学室まで運ぶと。

 少し体力が回復したのか、明穂先生はのそのそと起き上がる。


「はっはっは、すまないね。そうだ、せっかくだからお菓子でも食べてかないか」

「化学室にお菓子持ってきちゃダメでしょ……まあ食べますけど」

「ふふ、いい子だ。ほら、甘いのだぞー」


 明穂先生からもらったチョコクッキーを食べる。美味しいけど、こんな事していいのだろうか。


「いい食べっぷりだ。ふむ、私も頂くとするか」

「ってか先生、次授業ですよね。大丈夫ですか?」

「心配するな少年。少しくらい遅れても平気さ。だって私はサイキョーだからなっ」


 エッヘンとふんぞり返る明穂先生。

 こんなダメダメ大人だけど、授業の教えかたは上手いし、理科の知識は豊富だから先生を辞めさせられる事はない。……何だかズルい人だと思う。


「……なぁ、惟幾君」

「なんですか?」

「ふふ、何でもないよ。君はいい子だなって思って」

「なんですかそれ。……はぁ、ボクそろそろ帰りますね」

「っ! あ、ああ。またな、少年よ」


 何故か明穂先生の顔は赤かった。

 徹夜して疲れてるんだろうな。全く、せっかく美人なんだから身体には気を付けて欲しい。


 ……ボクの一日はこんな感じだ。

 すごく『平凡』で『地味』な学生生活だけど、まあそれが一番だよね。

 でも、一度くらいはラノベの主人公みたいなハーレム物語に憧れるよ。可愛くて個性のある色んなかわいい女の子に惚れられたいなぁ。


 そんな事を思う冴えないボクだった。

 

 

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