日曜、歩行者天国にて


凄く格好良い眼鏡を掛けた

猿が

猿がさ

歩行者天国でさ

ぴくぴくと死にかけていた

「息、途切れかけてるじゃん」

古着屋の店長が早速、指摘した

指摘

それは過ちを指摘すること

これには笑えた

何故なら指摘しただけで自分が何かしらの使命を果たしたかのようなそんな雰囲気が漂っていたからだ

「大丈夫ですか?」

古着屋の店長はそう言いながら近寄ると猿の所持品検査を始めた

ちっ

バナナフレーバーのガムしか持っていない

しけてやがんな

おれは通行人でその猿を接写していた

救急車も手配した

「何猿ですか?」

電話の向こうの相手は言った

「とにかく猿が困っているんですよ、一刻も早く来てくださいよ!」

「でも何猿かわからないとやばいウイルスとか待ってるとやばいし迂闊に出動、出来ないんですよ」

電話はぶつりと切れた

そして死にかけの猿が死んだ

「うう………」

おれは号泣する準備が出来ていたので手持ちの生地に涙を吸収させた


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