第十四話 等しい時。
ーピピピピ……ピピピピ……ピピピピ……。
「んー。んわー、うるさいー。」
昨日から三年生になったからこれからは毎日この時間に起きる必要がある。
「地獄の始まりだ〜。」
もぞもぞと布団から這い出して朝食の準備をする。
最近の若いもんは朝食を抜く奴が多いが、わしはしっかり食べる派。
朝ごはんを食べないといつまでも身体が起きない気がする。
本日のメニューは白米、たらこ、焼き海苔、味噌汁!こうやって書き出すと結構健康的だな。
食器の片付けを済ませて自転車に乗る。
学校に着くと、一番に
「
「お前そろそろ軽音部員以外ともコミュニケーション取るようにしろよ、なんで丸二年同じ学校にいて話せる相手が四十人以下なんだよ。」
「うるせえよ。お前なんで自分から話しかけないのに友達多いんだよ。」
『いや、お前が極端に少ないんだよ。』と言いたい気持ちを抑え込んでちょっとくさいことでも言ってみようかな。
「俺には人を惹きつけるカリスマ性があるんだよ、これはやろうと思ってできることじゃないんだ。すまないね。」
「……。」
「おい、なんか言えや。」
「今度今の言葉
「やめなさい。」
同じバンドのベースを担当している
あいつを一言で表すとしたらなんだろう、ちょいタラシ?て感じかな。
別に女の子を常に侍らせてるとかではないんだけど、失恋からの出会いまでのスピードに定評がある。
「あいつ春休みの間に新しい彼女できてそうじゃないか?前回の子は受験で忙しくなるからって振られてたよな。」
「あー、有り得るかもね。」
僕自身は恋愛経験が浅すぎるからなんとも言えないが、忙しいって理由で終わる関係って寂しいな。
ベース弾いてる人間は変態と言うバンド業界の通説があるが、凛音も僕たちが知らない一面のせいで振られたのかも。
凛音のクラスはDでうちはA、クラスが違うので部活が始まってからのお楽しみとなる。
「はーいおはよう、ホームルーム始めますよー。」
あ、そういえば担任はベテランおじさん先生ではなく、割と歳の近い男の先生になった。
安心感は減ったけど、親しみやすくなったと思う。始まったばっかりでまだよくわからないけど。
そうだ、この先生はホームルームが短い、これは地味に高得点だ。
「一時間目数学じゃん、あたしゴリゴリの文系だから要らないんだけど。なんでうちの学校三年もあるの?」
ホームルームが終わって早々冴月が文句を垂れている。
だけどそれには大いに同意、僕は中学生の頃から数学とは仲良くなれないと感じている。
文系クラスは週に二時間しかないとはいえ、嫌なものは嫌だ。
「耐え忍ぶんだ冴月、時間はボーッと過ごしても本気で考えても平等に過ぎる。だからな、ボーッとしてよう。考えてもわからん。」
「お前天才、あたしこっそり音楽聞いてよ。」
ーキーンコーンカーンコーン。
「おい、桔梗!お前イヤホンはずせ。なんでお前は三年になってそんなことしてんだ!ふざけるのも大概にしろ!!!お前らな……。」
バレてた。
とばっちりでクラスで怒られたじゃないか。
お叱りはしばらくの間続いた。
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