みっともない自慢はさせるな!

 あんなに帰ってきてほしいと思っていた彼女ちゃんだったがいざ戻られるとそれはもうウザ……やっかいな感じになったのだった。


「下妻氏ー! 酒ー! つまみー! 塩っ辛いもの! 塩っ辛いもの食べたい! じゃがバターに塩辛のせたやつ食べたい! 作ってー! あと焼ちゅ……いやビー……いやいや! か、カクテル的なー? あんまり甘くないやつー! 焼酎ベースの甘くないカクテール!」


 オヤジか! また実家で嫌な飲み方覚えてきやがって! いやいいんだけどさ!? だいたい焼酎なんてうちに……あったわ。買ってきてたわ。用意周到だな! 隠れて飲む気だったのか!? うちの父親みたいだ! おいおい勘弁してくれよ。このままオヤジメンタリティに呑み込まれるつもりか? よし、こうなったらどこまでのレベルか試してやる!


「やっこいる?」


「いるー!」


「納豆揚げいる?」


「いるー!」


「鮭とばいる?」


「いるー! 炙ってー!」


 コンプリート。これもう場末の飲み屋にいる親父だわ。残念ながら俺の彼女は四十路越えのおっさんみたいな趣向という事が判明。色々と残念な結果に愕然とするしかない。



「ねぇーまだー? 早くー 早くお酒ーつまみー」


「はいはいただいま」


 まるで田舎の居酒屋で働いている気分だ。俺は本当にこれでいいのか? いや、考えまい。これでいいのだ。多分。きっと。





 本日のQ&A


 Q.彼女の趣味がおっさんくさいんですが大丈夫でしょうか。


 A.お前の前だけなら許してやれ。そうでないなら、程度にもよるけど止めてやれ。言葉は選べよ?

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