第13話 プール 続


 葵side


 翔馬とはぐれてしまった。

 波のプールで翔馬の手が離れてしまって私はそのまま流されてしまった。


「まぁ荷物置いてるところまで戻れば携帯あるし、どうせ翔馬も戻ってくるでしょ」


 そう思ってとりあえず浮き輪からでて歩き出した。


「ね〜君1人?」

「一緒に遊ばなぁ〜い」


 うわぁ、ナンパだ!


「いえ、彼氏と来てるので」


 こういう時は彼氏がいるって言わないとね。


「えー、そんなかわいい彼女ほってどっか行く彼氏より俺らにしとかない?」

「結構です」


 こんな人達にかわいいって言われてもちっとも嬉しくない。

 翔馬にしか言われたくない。


「そう言わずにさー」


 1人が腕を伸ばしてきた。

 いや、触らないで。


「俺の彼女になんか様ですか?」


 そう思った時翔馬が割り込んできてくれた。


「翔馬」

「ごめんよ葵」


 やっぱり翔馬はかっこいい。


「ち、彼氏来やがったよ」

「行こーぜ」


 ナンパ野郎は去っていった。


「ごめん。俺が浮き輪から手を離したからだよな」

「助けてくれたからもういいよ。かっこよかった」


 ちょっと顔を赤くした翔馬。

 かわいい。


「さぁ、まだまだ遊ぶぞー」

「そうだな」


 ちょっと嫌な気持ちになったけど翔馬が助けてくれたからもういい。

 せっかくのプールデートなんだから。



 今私は怒っていた。

 最初から思ってたけど、翔馬他の子見すぎじゃない?

 目の前にかわいい幼なじみがいるってのにさー。


「どうした葵?なんか怒ってる?」

「べっつに〜」

「怒ってんじゃん」


 浮気する悪い翔馬にはこの位の態度取っても悪くないよね。


「俺なんかした?謝るからさ」

「.....見てたから」

「え?なんて?」


「ほ、他の子ばっかり見てるから」


 なんでこんなに恥ずかしいの!まるで嫉妬してるみたいじゃん!いや、そうなんだけどさ

 私の気持ちを考えろって話しさ。

 反省しろ。


「い、いや見てるつもりはなかったんだけど」

「見てたもん。すっごくみてた」


「あ、葵以外は別に見たいと思わないんだけど」

「......ッ!」


 な、なんでそんな恥ずかしいこと言えるの!

 私今絶対顔真っ赤だ!

 私は耐えられなくなって俯いてしまう。


「あ、あのー葵さん。大丈夫?」


 大丈夫なわけないじゃん。

 チラッと翔馬を盗み見た。

 翔馬も頬を赤くしていた。

 なんだよ、付き合いたての初々しいカップルか!


「だ、大丈夫」


 私は何とか声を振り絞った。


「よーし、ウォータースライダーに行くぞー」


 この空気感に耐えられなくなって逃げた。

 こういうのがダメなんだろうな。


 その後私たちはいつも通りに戻って馬鹿みたいに遊んだ。

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