素晴らしいドキュメンタリー!

日常のすぐ近くにある邪悪な陥穽に鳥肌が立ちました。
作者さんは、その悪意に敢然と立つ向うことを決意し、そのドキュメンタリーがこの作品になります。
屈することなく交渉を続ける姿は、まるで孤高のヒーローのようでした。
難しい法律用語や、訴訟に至る手続きを、ユーモアたっぷりな語り口で、分かりやすく書いている姿は、書き手としてお手本になるなぁと感じた次第です。
とはいえ、無礼千万なメールなどを送りつけられた当時は、怒り心頭だったと思います。
「書く」という作業は、それを追体験するということで、咀嚼して整理をつけないと文章が乱れます。克服までの努力に想いを馳せると、じわっと涙がうかびそうになりました。叶うなら当時の作者さんに心からお見舞い申し上げたく存じます。
クリエーターの命である技術料を踏み倒した挙句「少額訴訟でも起こされたらどうですか?」「今回は勉強代と思って諦めて下さい」と嘯く相手が実在していて、小説家としてデビューを控えていることに驚きを隠せません。
でも、泣き寝入りすることなく、キチンと反撃できたラストまで、読み物として成立させた作者さんの手腕に、拍手を送りたいです。
同様のトラブルに巻き込まれて、泣き寝入りした方もおられるでしょう。悔しくて枕を涙で濡らした方もおられると思います。
この作品は、作者さんが身を削って、こうした被害に遭われた方々に送るエールでもあるのだなぁと思いました。
ぜひ、読んで下さい。本当にオススメです。
(後半は「引き」が上手くなってズルいです。一気読み必至ですので、時間を確保してお読みくださいね)

警察モノ、犯罪モノを書いている作家の端くれとして、嫉妬すら感じます。
いつか取材させてください。

作者さんの、ますますのご健筆を祈りつつ。